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憲法判例を読む (岩波セミナーブックス)

価格: ¥1,890
カテゴリ: 単行本(ソフトカバー)
ブランド: 岩波書店
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違憲審査基準を体系的に理解できる☆ ★★★★★
基本書を読み進めると、厳格な合理性の基準、LRAの基準、合理的関連性の基準、明白性の基準、目的効果基準、明白かつ現在の危険の基準など、様々な違憲審査基準が次々と現れ、それらの基準を体系的に理解することが困難なことが少なくありませんが、本書はこれらの基準を学説、実務のそれぞれの視点から体系的に図式化し、そのような理解を促進することに成功しています。と同時に、これら二つの図式を視覚的に比較することで、学説の視点から見た実務における違憲審査基準の使われ方の問題点を、記憶に残りやすい形で容易に理解することもできます☆著者の結論をまとめると、「LRAの基準が適用されるべき表現内容中立規制に対して、現在実務では合理的関連性の基準が適用されており、結果として、本来経済的自由権の積極目的規制よりも厳格に審査されるべき表現内容中立規制が、同自由権と同等程度の保護しか受けられていない現状は問題である」ということになりそうです。
憲法の人権分野をより理解していくために ★★★★★
憲法は、大きく人権と統治に分けることができるが、人権を学ぶ上でもっとも難解かつ重要なのが、違憲審査基準である。さらに、判例の見解と通説の見解が異なり、その違いを独学で理解するのは、とても難しい。本書は、戦後の日本の憲法学の中で、特に意味のある判例を元に、通説の見解、判例の見解を憲法の初学者にもわかりやすいレベルでの講義を本にまとめたものである。芦部先生の『憲法』が難しいと思う方、さらに肉付けしたい方、憲法を知らないまったく初学者の方にもお勧めできると思います。
日本版「二重の基準論」を理解できる本 ★★★★★
憲法の人権論,とりわけ人権制約根拠(違憲審査基準)を学ぶ上で,アメリカの二重の基準論が日本の判例においてどのように受容・変容されたのか,という論点を避けて通ることはできません。
芦部先生のこの講義録を読めば,その内容を理解することができます。
精神的自由権を経済的自由権より厚く保障する,という芦部先生の理解は,判例には取り入れられているとは言えません。むしろ,経済的自由を制限することは,精神的自由の制約より緩やかに許される,というのが判例の傾向だと芦部先生は批判します。

この本の欄外には,審査基準の整理として有名な「図」が描かれていますが,初学者ほど,規制内容や態様と審査基準とが,1対1に必然的に結びつくかのような理解をしがちです。
しかし,審査基準は,ベースとなるべき目的手段審査に比べて,より厳格な審査をすべきか,より緩やかな基準でよいかという枠組で考えるべきものであることを,前提として理解しておく必要があるでしょう(この点では,高橋和之『立憲主義と日本国憲法』67頁を参照)。

講演録から入るのもいい。 ★★★★☆
未だにわが国の憲法学会に影響を残す、故芦部信喜先生の講演録。先生の教科書「憲法」(岩波書店)がコンパクトなので、よく併読されるらしい。先生は、日本で初めて「憲法訴訟」を体系的に研究、紹介された。ところが、学生時代は、まだ先生の教科書が出版されていなかったので、「憲法訴訟の理論」などの論文集を読んでいる学生が多かった。私は、論文集を読んでもちんぷんかんぷんなので、「司法のあり方と人権」(東京大学出版会)という講演録が出版されたときはうれしかった。その内容が一段と洗練されたのが、この本。特に、わが国の最高裁判所によって、まれに出される「違憲判例」が、おしなべて「経済的自由権」に関するものなのはなぜか、についてよく理解できる。少し高度な内容を、読み易い文章で表現した名著だ。
本当にわかり易い ★★★★★
 私は憲法の初学者でしたが、この本を読んで違憲審査基準がよくわかるようになりました。芦部先生の「憲法 第2版」は、私には難しく、また違憲審査基準の部分がよく理解できず困っていたのですが、この本のおかげできちんと整理できました。

 公共の福祉から内在制約説、その判断基準となる二重の基準論、と流れるように講義が展開していきます。判例理論と学説の違いが実に明快に説明されていて、本当に面白く読むことができました。私は憲法についてまだ学びが浅いのですが、芦部先生は本当に偉大な方なのだということがわかりました。