この本の欄外には,審査基準の整理として有名な「図」が描かれていますが,初学者ほど,規制内容や態様と審査基準とが,1対1に必然的に結びつくかのような理解をしがちです。
しかし,審査基準は,ベースとなるべき目的手段審査に比べて,より厳格な審査をすべきか,より緩やかな基準でよいかという枠組で考えるべきものであることを,前提として理解しておく必要があるでしょう(この点では,高橋和之『立憲主義と日本国憲法』67頁を参照)。
公共の福祉から内在制約説、その判断基準となる二重の基準論、と流れるように講義が展開していきます。判例理論と学説の違いが実に明快に説明されていて、本当に面白く読むことができました。私は憲法についてまだ学びが浅いのですが、芦部先生は本当に偉大な方なのだということがわかりました。