バーデン・パウエルがパリにいた時期のレコーディングで、ブラジルの陽気さにあふれたものとは違い「メトロノームのためのショーロ」や「冬の歌」などメランコリックな曲が多く見られますが、曲と演奏はすべて第一級品です。彼のファンは必携だと思います。

抑制が効いた演奏であるがゆえにバーデンの技巧の高さ、決して真似のできないリズム感の気持ちよさが浮かび上がっています。よく演奏する「ビリンバウ」「イパネマの娘」はここでは完全にソロ演奏で、特に「イパネマの娘」はオリジナルと全く違う、リズム感と複雑なコード進行を強調した演奏です。「ボサノバが聴きたいので、イパネマの娘が入ったアルバムをちょっと買いたい」という人には不向きです。ボサノバは彼の中の一部でしかないということがよく分かります。

多くの曲がコピー譜が出版されているので、ギター小僧は挑戦してみてはいかがでしょう。誰にも真似のできない独特のリズム感を指で感じることができると思います。

あと、このアルバムは「Love me with Guitars」というタイトルで全く同じ内容でリリースされてもいます。注意してください。

一応ボサノヴァ派に分類されてはいるが、この人の音楽はジョアン・ジルベルトやアントニオ・カルロス・ジョビンの音楽とは大分開きがある。否、ベクトルとしてはむしろ正反対だろう。アルバムに収録されている名曲「イパネマの娘」を聴けば、そのことは良く分かる。バーデンはギタリストであると同時に優れた作曲家だったが、初期のヒット作「悲しみのサンバ」は数ある演奏の内でも、ベストの一つ。大変な名演だ。これ一曲を聴くためだけでも、このアルバムを買う価値はある。

～　バーデンの数多いアルバムについては、ようやく網羅的なCD化が進みつつありますが、このアルバムはアフロサンバやテンポフェリス、ボンタージと並ぶ初期の傑作の一つだと思います。特に４のビリンバウ、７のサンバトリステ、１２のイパネマの娘の演奏は、数あるバーデンの演奏の中でも最も素晴らしいものですし、ギターテクニックという観点からも、もっと騒～～がれてしかるべき歴史的な演奏だと思います。
　一人でも多くの方に、このアルバムに耳を傾けていただきたいと思います。　～

個人的に初めて購入したバーデンパウエルのアルバムでしたが7番や12番の情熱的かつ繊細な演奏にはただただ衝撃を受けます。"おいおい、ギターでこんな事出来んのかよ！"と思わず声に出てしまう程超人的な卓越した演奏をしつつこれ見よがしな嫌味はなく、美しいメロディーに涙します。天才とは確かに存在するものだと確信させる必聴アルバムです。