詳細でしかも読みやすい、食用水産生物の百科全書、その3
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入門者から釣り人・料理人、漁業・食品加工・販売といった業界の関係者、専門の研究者にまで役立つ、食用水産生物の大百科である。
第3巻は、魚類ではキス・ブリ・アジ類・タイ・ベラほか、その他の生物ではイカ・タコ・ナマコ・ウニ・ホヤ・クラゲなどを収録。さらにイソギンチャク・シャミセンガイ・ホシムシ・アメフラシといったあまり一般に利用されない海産無脊椎動物についても紹介されている。少し残念だったのは、韓国などで賞味されるユムシや太平洋諸島で食用にされる多毛類(ゴカイ・イソメの仲間)が載っていなかったこと。この仲間は食味も良く、将来的に大量生産も可能と思われることから、個人的に注目している食材なのだが。
コラム・トピックスでは、アフリカの魚食文化に関する内容(p.132-134)などが興味深かった。各地の主な魚市場の一覧(p.164-)も、旅行者や観光・報道の関係者などに役立つだろう。