詳細でしかも読みやすい、食用水産生物の百科全書、その2
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入門者から釣り人・料理人、漁業・食品加工・販売といった業界の関係者、専門の研究者にまで役立つ、食用水産生物の大百科。図や写真が豊富で文章も解りやすく、肩肘張らずに読めてしまうため見過ごしそうだが、内容は非常に高度でかつ密度が濃い。大御所クラスの研究者が執筆陣に名を連ねているだけあり、分類・生態・生息環境など生物学的な話題についての解説も多く、へたな図鑑より参考になる。
第2巻は貝類(+フジツボ類。ただし頭足類とアメフラシは第3巻)と、魚類ではアンコウ・サンマ・スズキ・ハタ・メバルなどを収録。コラム・トピックスでは、練り製品や魚醤について、かなりの紙数を割いての詳しい記述があるほか、魚介類を用いた各地の駅弁の紹介(P.140-141)なども。食用以外では、真珠養殖や貝殻の工芸への利用、ブラックバスに代表される移入種の問題などが解説されている。