バケモノ!
★★★★★
スティールハートの1stは新人らしからぬ大胆な曲と
ダイナミックな演奏でど肝抜かれる作品である。
契約を得るまで8年間もライブをやっていただけあって、
バンドとしての力量が1stから出まくっている。
それが曲の構成に組み込まれており、飽きないアレンジも加わって
新人のレベルを超えたハードロックアルバムに仕上がっている。
1曲目の重厚かつソリッドなギターリフからマイクの超高音の雄たけびが
聞こえた瞬間から桁違いのロックサウンドに魅了される。
そこいらのロックバンドとは違うダイナミックかつ計算された曲のオンパレードで
ラストナンバーまでグイグイ引き込まれてしまう。
計算されたリズムにすばらしいリフを奏でるリズムギター、
そして縦横無尽に炸裂するクリスリゾーラのリードギター、
何よりすごいのがボーカルのマイクマティアヴィッチである。
何百というロックバンドを聴いてきたが、このボーカルはバケモノだ!
地底から聴こえるような野太い低音を出したと思いきや、
果てしなく高い、高い高すぎる高音をも出しまくる!
その高音もか細い高音ではなく、芯のあるハリのある高音であり、
まさに自分の声でコントロールしている真の音なのである。
音域の広さはロック界でダントツの1位でしょう!
アルバムはオーソドックスなハードロックではあるが、
全てが高水準であり、綿密なアレンジと大胆な構造で
ソングライターとしてもすばらしい才能を持っている。
何でもマイクの一番の望みは、ソングライターとして評価されることだそうです。
このアルバムの目玉は、やはりロックバラード史上屈指の曲、”シーズゴーン”だろう。
ピアノのイントロからクリスの泣きギターが入ってくるこの曲に感動すること間違いなし。
マイクのどこまでも高く伸びるハイトーンがこの曲にすさまじいインパクトを残す。
クリスの泣きのリードもあいまって、まさに名曲となっている。
これを聴かずしてロックバラードの真髄を語ること片腹痛し。
そしてもうひとつの名曲、4曲目の”アイルネバーレットユーゴー”もまた傑作である。
意見シンプルなパワーバラードともいえるが、マイクさんのボーカルは反則です。
メロディーもすばらしいしバンドのアンサンブルもすばらしい。
シーズゴーンにも負けず劣らずの名曲です。
他の曲はギンギンのロックチューンで、どの曲も特徴的で良いんですよ。
少しもったいないのは、Pのマイクオピッツのサウンドプロデュースの力が
バンドの力にやや負けている感じに思うとこです。(それ自体すごい事なんですが)
もっとバンドのライブ力を前面に押し出した音作りをして欲しかった。
2ndのトムワーマンのように。
あとボーナストラックとして”シーズゴーン”の日本でのライブ音源があるのですが、
リズムギターがほとんど聴こえず、
ドラム音が大きすぎのMIXをしてるとこがもったいないなぁ、
せっかくスティールハート唯一のライブ音源なのですから。(CDでは)
もうすぐDVDで出るライブの音源が楽しみだ♪