必見の映像美
★★★★★
ミレーヌ・ファルメールのビデオクリップ集DVD
彼女が拠活動の点をアメリカに移してからPVを集めたもので映像的にも、
アメリカ映画を思わせるカット割りの多いものとなっていて、
一見ヨーロッパ的静寂と暗黒度は薄れたように思えるものの、
センスの良いメジャーな作りの中にも、彼女の持つアートな感性は所々に垣間見えて、
やはり素晴らしいといわざるを得ない。
フランス語による情感たっぷりの歌唱は映像と結びつき、見るものを釘付けにせずにはおかない。
まるで香港ファンタジー映画のような中国美女に扮したミレーヌ、
絶望にのたうち血の海に浸るミレーヌ
娼婦とファーストレディの二役を同時に演じるミレーヌ、
サーカスで玉乗りをするミレーヌ、
こと映像という視点からすると、ここまでの場所に到達している歌手が
この世界にどれほどいるだろうか。
彼女の表現するものは、愛と憎しみと悲しみ、光と闇、時の流れ、血と涙、
美と醜、生と死、でありそれはつまりはこの世界のすべてである。
ボーナス映像での、
何十万人だか見等もつかない大観衆の前で歌う彼女の姿は、
まるで女神のように輝いて見える。
陶酔に満ちた人々の顔を見れば明らかだ。
この一人の歌手のために命をかける人間が、たとえ何百万人いても、
私は驚かない。これも必見のDVD。