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高校生からわかる 日本国憲法の論点

価格: ¥1,890
カテゴリ: 単行本
ブランド: トランスビュー
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伊藤真の憲法論は13条の考え方が重要。ただ… ★★★★☆
私は商売柄司法試験関係の書籍に触れる機会が多いので、書評も比較的司法試験関係の書籍とかが多くなってしまうんですが…
司法試験予備校業界で有力なところといえば辰巳法律研究所と伊藤塾かなと思います。
(あとLECとWセミナーがあるのですが…この二社は割愛)
辰巳というのがどちらかというと司法試験をテクニカルに突き詰めて考えるのに対し、伊藤塾というのはテクニカルな面もさることながら、法律のバックボーンとか思想とかそういうのを重視する傾向があるように思います。まあこれは伊藤真という受験業界のカリスマの存在が強いのだと思います。
まあこれは諸刃の剣でもあるのですが。

で、今回はその伊藤が高校生向けに出版した憲法の本なんですが、芦部信喜のオーソドックスな憲法論に忠実な印象を受けます。それはすなわち憲法学の世界ではオーソドックスな考え方であるので、それに忠実なんだと思います。
それって当たり前じゃん、と思われる方が多いかもしれませんが、実は市民レベルに向けて出された憲法の本の多くはこういう学説に忠実ではなく、9条にしても人権にしても著者の考え方に都合がいいように突っ走るのが当たり前の世界で、正直出来が悪いのが現実です。下手をすれば憲法学者を名乗る人ですら明後日の方向を向いてるような憲法論を書くことがありますし。
そういう現状を考えると、市民が読むレベルでは一番まともな憲法論の本ではないかと思います。

その中でも特に伊藤が優れた考え方をしてるのは、やはり13条「個人の尊厳」の考え方なんじゃないかと思います。
これも正直なところこれまでの憲法通説そのまんまといえばそれまでなんですけど、実というと市民レベルの憲法本ではあまり語られなかった部分だったりします。下手をすると公民や政経といった学校の授業ですらあまり触れないところかもしれません。
しかしここを無視してその後の人権カタログというのは出てこないんですよね。
あと、意外に重要なのは12条の考え方で、12条「公共の福祉」は人権と人権の相互衝突の際の調整原理であるというのも、市民レベルの本ではあまり語られない部分です。
こういったこれまでの本で無視されがちだったところを、分かりやすく書いたのは好印象です。

ただ、残念なのは、この本は2005年出版なんですが、それ以降今に至るまでの間に、伊藤のスタンスがだんだんとぶれてきているように見えることです。
イベントや講演会とかの内容がこういう人権論とは異なりつつあるような話をよく耳にしますし、週刊金曜日と組んだ辺りから、なんか13条よりも「9条大事」という方向に流れつつあるような気がしてならないんですよね。
「9条守るためには人権を制約してもかまわない」的な平和運動家的な考え方になりかねないような、そんな危険性を感じちゃうんですよね。

本そのものは★5つでいいのですが、そういう今の言動への警鐘をこめて、1つ減らして★4という評価にしたいと思います。
ほんとに何も知らなかった・・・ ★★★★★
阿部首相になってから、ひときわ改憲の方向へと進んでいくように感じているのですが、私としては憲法について非常に無知でしたので、憲法を知った上で改憲の場に立ち会えればいいかな、と思って購入しました。

憲法というものが国家権力を制限するものであること、歴史的に現在の憲法は立憲主義に則っていること、個人の人権が一番守られなければならないという憲法の根底にあることすら理解していませんでした。
一方では、それらを理解することができて非常にありがたかったのですが。

著者の論理展開は単純明快だと思います。憲法の基本理念に照らし合わせ、そこから解釈されることを判りやすく示してくれています。いろいろな考え方があるのでしょうが、著者の主張するように、現在の改憲論者が提示する論拠が、立憲主義に基づいていないこと、情緒的であることが良くわかりました。また、改憲論議のつまるところは、やはり9条にあることも非常に良くわかります。
私自身は改憲の是非については、今後も考え続けていきたいと思います。

おそらく、憲法論議自体はこれほどシンプルではないのでしょうが、私のように憲法に対してそれほど詳しくない人間にとっては最良の入門書でした。
もし私と同様の方々がいらっしゃれば、この本は非常にお薦めの本です。


目からうろこの反面、やや独断臭も ★★★★☆
本書は、立憲主義の重要性、すなわち個人主義・自由主義のかけがえのなさを主旋律として、昨今見られる改憲論の底の浅さ・危うさに警鐘を鳴らす。しかし、著者の主張を読み進めるうち、ちょっと待って欲しいとの感を抑えることができなくなってきた。立憲主義とはそれほど不易にして、現行憲法の改正論をあまねく封殺する効能を有するものなのか。たしかに少数派になったときこそ個人の自由の大切さは痛感させられることになろうし、憲法改正論議は弱者へのイマジネーションをもってなされるべきとの主張にも合点がゆく。しかしただ、立憲主義は西洋原産の考え方であり、彼の地では、たとえばその前提としてキリスト教的利他の精神が社会に一定程度存在していた事実を指摘しなければならない。GHQ主導により、戦前の全否定のうえにわが国に立憲主義を直輸入した現行憲法の下では、個人主義は自分主義に置き換えられ、自由主義もまた勝手主義と同視される結果を生むことは火を見るより明らかであろう。現行憲法の体裁が変らぬかぎり、このことは50年後も100年後も変らないのではないか。否、むしろ助長されている可能性すらある。それゆえ日本人が培ってきた他者を思いやる心性・自然と人間とのほどよい関係、といったような諸特性を再興させる手掛りとして、わが国固有の歴史的伝統・文化を尊重する文言を訓示規定として憲法前文に書き加える程度の改正は認められなけれなならないと考える。現行憲法に指一本触れてはならぬとするかのような著者の論旨は、法の拠って立つ歴史文化の面における各国の異同を看過している。憲法典の性質を、西欧源流の立憲主義からのみ把握する本書がいささか物足りなかったゆえんである。
発想が、いい本。 ★★★★☆
高校生から法律に馴染む。
ホントなら少しずつ中学からでもいいくらいだろう。
本書の発想がいい。
高校生にいる家庭なら一家に一冊この本があってもいいかも知れない。
高校生とあるが、憲法初体験の大人にも十分にいい本だと思う。
憲法のフレーズの素晴らしいリズムも感じてほしい。
憲法そのものの解説は分かり易くていい。
さすがに司法試験受験学校の最高峰の塾長だと思った。


憲法は権力を縛るもの。 ★★★★★
高校生からわかるとのタイトル通り、読みやすい。憲法がわれわれの生活といかに密接に結びついているかがよくわかり、読後には憲法が身近に感じられるはず。改憲への流れが進む中、できるだけ多くの人にぜひ読んでほしい1冊。