憲法論としては分かりやすいです
★★★★☆
伊藤真のこの手の憲法本は、今の憲法学説に忠実に書いてきますので、まあ外してることはないなあ…というのが私の印象です。
憲法語る本の多くはろくでもない、という状況の中で、ここまでしっかりした本を書く人もなかなかいないなあ…と思います。
今回もなかなか良い出来で、人権に厚く9条が比較的薄めなのは好印象です。
しかも今回の本は憲法判例をちゃんと押さえてきてますのでこれも好印象。しかも憲法判例も適格なところを押さえています。
学者の先生の中でも、自分の論にとって都合よく運べる判例しか取り上げない(例えば市民団体とかへの肩入れのためにそういう市民運動関係の訴訟しか取り上げないような先生もいます)本を書くような人がいる中で、そういうのとは関係ないけど憲法論としては重要な判例を取り上げてきているのはなかなかだな…と思います。
まあ教養として憲法を学びたい人には良い一冊かな、と。