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哲学者ディオゲネス -世界市民の原像- (講談社学術文庫)

価格: ¥1,470
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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“犬”の生活 ★★★★★
「犬儒派」と揶揄されたディオゲネスについてのおそらく本邦初の入門書にして本格的な解説書だろう。本書の主人公ディオゲネスとは別人のディオゲネス・ラエルティオスによる『ギリシャ哲学者列伝』(岩波文庫)と対照した「トピックス」が巻末に掲載されているのを見てもわかる通り、「犬の生活」を送った哲学者の生涯を精密に検討している。
こうしたスタイルは、いまや哲学思想研究においては古典的なスタイルと言えるが(文学研究では一層)、犬(ディオゲネス)の場合、テキストが残されていないこともあって正攻法だと言う他ない。
樽(本書では甕)の中で生きていた犬、ぼろぼろの布切れを身にまとってうろつく犬、カンテラを掲げて「人間はどこにいる」と嘯く犬。何という魅力的な犬であろうか。こうしたエピソード(トピック)の断片をジグソーパズルを扱うようにして構成していったのが本書なのだ。

これは労作である。しかも、達意の文章が大変面白く読ませる。

通貨変造事件など、本書で初めて知った。ますます興味深いではないか。こうしたエピソードは結構錯綜しているが、著者の推理も含めた構想力は周到と思える。ただし、精緻な面、やや辛抱強い読書も要する。
世界市民云々については、判断しにくい面もあると思ったが、決してお題目ではない。この手の作品では、大概そうなるのであるが。

小説『肝心の子供』でブッダとその家族を描いた磯崎憲一郎は、本書を読んで犬儒派ディオゲネスを次のテーマにしたらどうか? それは要らぬお節介であるが、『哲学者ディオゲネス』を読んでいて一番に思い出したのは、磯崎の『肝心の子供』だった。ちょっと突飛だろうか?
“犬”の生活 ★★★★★
「犬儒派」と揶揄されたディオゲネスについてのおそらく本邦初の入門書にして本格的な解説書だろう。本書の主人公ディオゲネスとは別人のディオゲネス・ラエルティオスによる『ギリシャ哲学者列伝』(岩波文庫)と対照した「トピックス」が巻末に掲載されているのを見てもわかる通り、「犬の生活」を送った哲学者の生涯を精密に検討している。
こうしたスタイルは、いまや哲学思想研究においては古典的なスタイルと言えるが(文学研究では一層)、犬(ディオゲネス)の場合、テキストが残されていないこともあって正攻法だと言う他ない。
樽(本書では甕)の中で生きていた犬、ぼろぼろの布切れを身にまとってうろつく犬、カンテラを掲げて「人間はどこにいる」と嘯く犬。何という魅力的な犬であろうか。こうしたエピソード(トピック)の断片をジグソーパズルを扱うようにして構成していったのが本書なのだ。

これは労作である。しかも、達意の文章が大変面白く読ませる。

通貨変造事件など、本書で初めて知った。ますます興味深いではないか。こうしたエピソードは結構錯綜しているが、著者の推理も含めた構想力は周到と思える。ただし、精緻な面、やや辛抱強い読書も要する。
世界市民云々については、判断しにくい面もあると思ったが、決してお題目ではない。この手の作品では、大概そうなるのであるが。

小説『肝心の子供』でブッダとその家族を描いた磯崎憲一郎は、本書を読んで犬儒派ディオゲネスを次のテーマにしたらどうか? それは要らぬお節介であるが、『哲学者ディオゲネス』を読んでいて一番に思い出したのは、磯崎の『肝心の子供』だった。ちょっと突飛だろうか?