６０年代にデンマークのコペンハーゲンに移住してからも、年に一度はＮＹＣに帰郷し、ルディ・ヴァン・ゲルダーのハンケンサックにあるスタジオでプレステージの為に録音を重ねたデクスター。そんな彼の１９７２年の６月の帰郷セッションが本作である。相変わらずの重たいテナーが良い。フュージョン全盛期にあってもビバップ魂を失わないテナーのいごっそう。サポートするのは、サドとハンクのジョーンズ兄弟に若手ベースマンのスタンリークラークとベテランドラマールイスヘイズ。中々の面白い顔合わせだ。一曲フレディハバートとビリーヒギンズが加わるのもある。とっても好調なサド・ジョーンズの味わい深いトランペットがデクスターのテナーとうまくマッチする。ハンク・ジョーンズの渋いピアノも聞き物だ。大河の流れを連想させるような滔々たるブルースが気持ちよい。フレディが加わると雰囲気が一変し、アップテンポの激しい曲調に。ここでもデクスターのテナーが負けじと素早いパッセージを送り出す。聴き応え充分のハードバップ作品だと思います。