かなり前の榎田尤利さんの作品だからか？　文体が吾妻視点で吾妻の心の叫びを中心に書かれているからか？　２冊目ともなると多少クドく感じる。
話自体はよいけど、読むのに飽きてくるって感じ。

それはともかく、今回は伊万里と吾妻の間がぎくしゃくし、吾妻がいろいろ一人で悩んで胃潰瘍起こしたり体調悪くしたりとジェットコースター並の展開をまき散らす。

今までの面々、王子沢や和泉さんも登場するが、特に王子沢と吾妻の関係はなんとなく一気に縮まる…というか別のものに変化していく感じ。
逆に伊万里が今までの勢いがなく、焦ってみたりと吾妻が好きなばかりに身動きとれない風体をさらす。
このＣＰ、伊万里が吾妻を引っ張っていくように一見見えるけど、実は内々では吾妻のほうがいざというときは強くて伊万里は弱い。そして弱くなった時の伊万里は、いつも恰好よいくせにいやに可愛く見える。
吾妻はもともと可愛い。
伊万里は性格が可愛い。お姉さんに話してみて！って感じな可愛さ。
……馬鹿だ……。

ＣＤが子安さん×伊藤さんで収録されてるから、読んでても二人の声でセリフを読んでしまう。残念なのは子安さんの声では上で書いたような「伊万里の性格可愛さ」が損なわれてしまうこと。子安さんの声はかっこよすぎだし。

魚住くんシリーズから入ったこの作者。
いつもの『切なくて胸が痛いよ～』って作品とは
ちょっと趣向が違いますが、伊万里と吾妻がすれ違ったり
しながらも最後には互いの愛を確認しあう、
そんな二人の恋の経過が吾妻の視点でじっくりと
書き込んであって、面白いです。
切ないぞ、と、覚悟しないで読めるので、
これはこれで、榎田作品として、いいのではないでしょうか。