演奏上手くなったなぁ
★★★★☆
演奏上手くなったぁ。これが第一印象。
前作でも桜井青のギターが各段にレベルアップしていたが、今回もさらにそれを感じた。
前作『10』は活動休止前の『8』の延長線上の作品だったが、
本作も石井秀二のニューウェイブ色全開かと思いきやバンドサウンドを前面に押し出した作品となった。
往年のファンからすれば『10』より本作が好みかもしれない。
チビアルバム全6曲・・・、ヘタすればちょっと曲多めのシングルと扱われかねないがなんのその、聞き応え十分、内容の濃い作品だ。トータルタイムの短さを感じない。
ただカリガリというバンドからするとちょっと寂しさを同時に感じるかもしれない。
ファンは別にこのバンドに演奏力を求めているわけでもないし、カリガリのその特有の変なネチっこさがたりないのだ。
そういう意味ではカリガリでなくても他のバンドでもできそうな内容だ。
ただアルバムとしての完成度は高い。
時代に逆行している?
★★★★☆
FC限定配布音源の「トレーションデモンス」も混ぜた7曲で「11ジャナイ」として、果たしてアルバムは何なのか?
「10」以降イレギュラーの「続、冷たい雨」を除いて、復活後のカリガリに一貫して言えるのは、『時代に逆行し始めている』ということだと思います。
活動休止前の「8」まではむしろ時代の先を行き過ぎていたため、理解されずリスナーがついてこなかった。
それが要因のひとつとなって活動休止の事態に陥るわけですが、復活後のカリガリを見ると全く別のバンドかのように人気はうなぎ登りです。
それはようやく『時代がカリガリに追い付いた』
大袈裟に捉えればそういうことだと思います。
しかし復活後の彼らは明らかに時代に逆行した音楽や衣装、メイクを身に纏い、活休前に彼らが嫌っていたものになりつつあるように思います。
今のカリガリの音楽を聴いても残念ながら全く面白くありません。
メインの石井秀仁、桜井青にとって、カッコいい音楽の捉え方が変わってきているという風に思います。
石井秀仁にしては「新奇テキスト」は芸が無さすぎだし、桜井青にしては「クロニックダンス」は味が無い。
あえてダサい音楽をやっているのかもしれないけど、6曲しかないのに、この2曲はとても残念でした。
ただ従来のカリガリらしい「マネキン」や、10以降のカリガリらしい「散影」もあり、特に最高なのが「オーバーナイトハイキング」です。
カリガリならこれくらいのクオリティーの曲はもっと作れるはずです。
ファンだからこそ、厳しい意見を言わせてもらいました。
これからも活動が続くか、どうかわかりませんが、可能性はあると思うので、期待しております。