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シルエット (講談社文庫)

価格: ¥440
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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20代前半と、バカにするなかれ。 ★★★★☆
学生の恋愛模様が描かれる。

携帯小説にありがちな、エピソードは一切なく、
甘くもあり、酸っぱくもあり、痛くもある心情が
20代前半とは思えない、文章表現で物語が織り成されている。

筆者を初めて教えてくれたのは、
10代後半の女性フリーターだった。
“面白いから、読んでみてください”と。

そのとき読んだのが、『ナラタージュ』。
20以上年齢の離れた私でも面白いだけでなく、
登場人物に深く共感させられたのを覚えている。

今作は、その原点ともいえ、堪能をさせてもらった。
しばらく、著者の本からは離れていたが、やはり、他の本も読んでみよう、
そんな気にさせられた。
主人公の目に映るものは……影 ★★★☆☆
『シルエット』です。群像新人文学賞優秀賞を取った表題作と、「鳩よ!」掌編小説コンクール年間MVPの『ヨル』と、もう一編の掌編を収録した本です。デビュー作と出世作を同時に味わえる、という意味では美味しい本かも。ただ、そこそこ長さのある表題作と掌編2作を同じ本に入れるというのは、バランス的にはちょっとどうだったでしょう。

恋愛小説です。といってもベタベタの甘々ではなく、文章表現が純文学的なので甘さ控えめです。とはいえ内容的にカロリーは高い、といった感じです。
文章はどちらかというと詩的に感じられました。だから絵画的イメージが強かったです。十代の若い作者が若い感性を活かした作品。別の人と付き合っていても、別れた好きな人が忘れられない、という主人公のせつない感情を表現するには、この文章で的確なのかもしれません。

この著者の、恋愛小説以外の作品を読んでみたいです。
うーん ★★★☆☆
 デビュー作でだけあって、いま見ると、島本理生の中では習作にすぎないと思うけれど、高校生が読んだらとてもおもしろく感じると思う。
 この頃は文章があまりに村上春樹的すぎてどうなんだろうと思う。ときどきへんな文章があるし。
「終わるころにはいつも彼の愛情の海に侵されて起き上がることすら困難なわたしがいる。」
 愛情の海って……。こんなアホなことを書いていた時期があるんだな、と思うと、少しだけ微笑ましい。
 表題作のほかに、二本の掌編が収録されていて、「植物たちの呼吸」はどうでもいいけれど、「ヨル」のほうはすごい。彼に無視されたときの描写がうますぎて、この本での中でいちばん優れている部分だ。
電車の中で読んではいけません ★★★★★
島本理生さんの本は『生まれる森』に続いて2冊目でしたが、こちらの方がよかったです。17歳とは思えない表現力に脱帽です。江国香織さん的な、なめらかで心地よい文章です。

主人公は女子高生。そして、同じ高校生で元恋人の「冠くん」と、大学生の現恋人「せっちゃん」。冠くんが忘れられず、でもせっちゃんも大切で・・・。
読んでいくうちに、自分の高校時代が鮮明に蘇ってきて、心がちくちくしました。高校生の私は、主人公のように日常から逸脱して苦しみにおぼれることすら、怖くてできなかった。でも、不明瞭ながらもたくさんの気持ちがあって、思いを引きずったりもした。そんな思いがあふれてきました。
私はかなり自分の思い出や経験にかぶらせて、この本を読んでしまいましたが、そういう読み方がお好きでない方には、ちょっと重いかも。

物語のラストは衝撃的で、電車の中でうかつにも泣きそうになりました。本を持つ手が震えました。

ただ、表題作以外の2作は、島本理生の世界観は現れているものの、残念ながら読み応えはなかったです。
散文詩のようです ★★★☆☆
島本理生さんは、最初からうまい作家でした。これは絵國香織さんのような世界ですね。主人公と、冠ちゃん、せっちゃん。そのあたりの関係、さらに「引きずり」という絡み具合が、実にうまいんです。自然に、暗くなりすぎず、だけどリアルに。詩的で繊細に描写は、そういった物語をとてもするすると頭に入れてくれます。ただ、それがどうも作品世界の薄さにつながってしまっているようで、残念です。併禄の二作はいらなかったと思います。書き出しこそ秀逸ですが、それ以外の何が良いのか全くわかりませんでした。