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野生動物への2つの視点 “虫の目”と“鳥の目” (ちくまプリマー新書)

価格: ¥840
カテゴリ: 単行本
ブランド: 筑摩書房
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「自然保全」のために必要な視点を教えてくれる ★★★★☆
 「自然保護」を、人間と自然、どちらを中心にして考えるべきか。この問いに対して、自然に固有の価値を認めるからこそ保護するのだ、という考え方がある。人里離れた森林や希少動物など、それ自体に価値を認めないと残せない自然も存在しているから、私はこの着想は否定されるべきではないと思う。かといって、人間の視点を全く入れないことには、「自然保護」は進まない。どの地域や動物を特に保護するのか、を決めるのは人間だからだ。

 では、自然をとらえるとき、人間はどのような着眼点を持つべきだろう。それを考える時に、本書はたくさんのヒントを与えてくれる。例えば、「自然を守れ!」と言うとき、その人はどこに住んでいるのだろう?都市に住んでいるか、それとも農村地か。その違いだけでも、「自然を守る」の意味合いは違ってくる。都市部に住む者が特に守って欲しい、うつくしい生き物だけを保護した場合、実際に現地に住んでいる者が迷惑を被ることがありうる。特定の生き物だけに着目しても、生物界全体の様子は見えてこない。生態系全体に目を向けたとき、「保護」から、自然破壊に対してより有効性を持つ「保全」への橋渡しをしてくれるものが見えてくる。それは、ある生物と別の生物の関係性だ。ひとつの生き物が絶滅するということは、彼らをとりまいていた無数の関係性も消滅し、その先にいる別の生物の生活を脅かすということだ。

 そのような関係性を認識するために、私たちは何が出来るか?本書はある行動を提案する。それは、著者のような専門家にしかできない特殊なことではなく、日々の暮らしのなかで私たちでも実践できる。「自然保全」がこ難しく感じても、これならできるかも、と思わせる。それを通して、自然に対する自分なりの視点を養うことができたらな、と思う。生き物の好き嫌いを越え、その向こう側の着眼点を持つことができるようになる一冊。(by ちゅら@<おとなの社会科>)
生物を観察するための数多くの視点が学べる ★★★★★
サブタイトルの「虫」と「鳥」の目と表現された視点には最後まで馴染めませんでしたが、生物を観察するための様々な視点があることが分かりやすく欠かれています。
前半では一定地域の鹿の群れに体する20年間の定点観測を、後半では鹿を含めた生態系に対する観測を、それぞれを専門とする二人の学者が記述しています。
オオカミの対する西洋と日本の捉え方の違い、「保護」と「保全」が異なること、試験や競争の勉強と研究とは異なることなど面白い視点からみた考え方がエッセイ風に書かれています。植物学者が昆虫学者と里山を歩いた時の視点の違いも笑えました。
タイトルからは堅苦しい本のように感じますが、楽しく面白くアカデミックに読める本です。
自然をどうコントロールし、共生するのか。 ★★★★☆
 前半では、宮城県石巻市沖のほぼ無人島の国定公園金華山で、神の使いとして保護されている鹿の群れの生態について、食性・交尾・子育て等が詳しく書かれる。
 交尾の縄張り争いで、ボスよりも縄張りを持たこそ泥的にメスを盗む鹿であっても、約30%もの遺伝子を残せるとは以外であった。

 そこから食物連鎖、植物が生き残っていく為の媒介としての動物・昆虫との共存、狩りによる絶滅とその後の保全の歴史、自然への多用な目線の必要性を説く。

 2人の著者の持ち分は、対談等で交わる事もなく、別れているが、それぞれが多様な視点を詳しく現している。


 自然保護と言えば、公共事業や開発を敵視する内容が盛り込まれがちだが、それはロードキル解剖を行う学生の感想文や、獣医になって怪我した動物を救いたいと言う中学生の質問への回答で、「治療は尊いが、自然界でぎりぎりで生きている野生動物の数がどう変化するかという事ことを知れば、人の治療というのは殆ど意味がない」と控えめに語られる。

 各種野生動物を原告とし、自然保護を訴える運動と同様に、本書のようなソフトな視点も並行して、「可愛い」を金科玉条としない全体的な自然保護に、目を向けねばならない。