この本はタイトル通り、数学バリバリで完璧な厳密性を追求するような本ではなく、
むしろイメージを優先し、さっさと読み進めることに向いている本です。

位相幾何をするには、位相(topology)が必要ですが、一応数学の基礎知識は１章で
フォローしてくれているので、線型代数と微分積分の基礎が出来ていれば普通に
読めるはずです。

ただあまりにも厳密性を無視している為に、定義の中の条件に不必要に強い条件が入っていたり、
一部大きな誤植(３章の式3.43など)がありますが全体の流れとしては読みやすい本です。

この本でまず位相幾何、微分幾何のイメージをつかみ、そこから別の本でしっかり勉強すれば
短期間で理解を深める事ができるでしょう。

数学と物理学は互いに干渉しあいながら成長してきたといってもそれほど外れてはいないだろう。新しい数学が物理の理解を深め、また逆に物理の直観が斬新な数学の源ともなった。そういう見方では両者は分かち難く結びついたものであり、一方の理解が他方の理解の一助となっていることは否めない。

この本は物理をはじめとする自然科学者がその経験的直観を数学的イメージに反映させながら微分･位相幾何を学ぶ為のテキストである。自然現象を模した「絵」を思い浮かべながら物を考える自然科学者にとっては、複雑で厳密な抽象的説明よりも、厳密ではないが単純で具体的な解説が向いていることがある。著者は数理物理学者であり、だからこそのバランスよい解説が為されている。例も物理への応用から多