タイトルが不適切
★★★☆☆
「25歳からの10年で会社に負けない自分をつくる」とあるが、若者向けの啓発書とは言いきれない。かと言って全くそうではないともいえないのだが、というのも、若者が読んで「なるほど!」とためになる部分もあれば、組織論の話に終始したり、明らかに中堅以上向けの会社員に対するメッセージが書かれていたりするからだ。
また著者が体験したエピソードがそれぞれ1話を構成し、それらが40話近くまとまって1冊の本になったという感じの本であるが、その40話が時系列順で並んでいるわけではないので読んでいて混乱する。
それなりに良いことが書いてある面白い本ではあると思うが、タイトルと構成に不満。
若い人がこれを読めば会社組織に対して持つイメージが変わるかもしれない
★★★★★
組織・人事コンサルティングを業務とするマーサ・ヒューマン・リソース・コンサルティング代表取締役社長が会社で働くこと、リーダーとしての考え方などをエッセイ的に語る。印象に残ったのが、著者のボスであるEさんの「I work for you」という言葉だ。「君は何がやりたいんだ」「そのために何が必要で、おれにできることは何だ」(p.196)という風に上司から言われたら、僕は自分のビジョンを語ってしまうし臨場感を持って目の前の仕事に全力を尽くしてしまうだろうと思う。また、リーダーがやるべき三つの仕事も面白い「その1:リーダーである以上、魅力的に語らなければならない」「その2:リーダーである以上、同じことを何度も話さなければならない」「その3:リーダーである以上、嫌なことも言わなければならない」(p.200)など、自分の働き方やキャリアを考える上で参考になる本。若い人が読めば会社という組織に対するイメージが変わるかもしれない。
後輩たちに薦めたい良書
★★★★★
書名の「○○歳」に現れているように、前著「39歳までに組織のリーダーとなる」がわりと仕事のキャリアを積んできた人たちを対象としているのに対し、今回は一世代若い人たちを対象として書かれている。会社に入ってある程度仕事に慣れ始めた人たちが、これからキャリアを重ねていくに当たってどういうことに留意したらよいのかが分かりやすく、読みやすい形にまとまっている。
全体としては、柴田氏のこれまでの経験がエピソードとして随所に紹介されており、柴田氏の人柄がvividに伝わってくると同時に、各話のメッセージが具体的にイメージしやすくなっている。特にオランダ大使館時代のエピソードが面白かった。各論では、特に「リスクをとるから成長する」の章は、自分の実体験からもそのとおりだと思う。一方で、自分と会社は対等であると考えよという記述については、正論だろうと思うのだが、実際は「わかっちゃいるけど・・・」という人が多いのではないか。そのあたり、日頃から研鑽や実績を積んでいくことに加えて、姿勢として前著の「変な自信」を持ち続けないとダメなのだろう。