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酒池肉林 (講談社学術文庫)

価格: ¥882
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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個人的快楽・欲望をとことん追求したという意味での贅沢三昧のエピソード集 ★★★★★
著者は「中国の隠者」、「中国の五大小説(上)(下)」等、物語や中国人の心理的傾向を代表する面白い逸話の本を書いているが、本書はその嚆矢(93年に新書で刊行)。副題は中国の贅沢三昧で、酒池肉林の昔から西太后に至るまで、皇帝などの支配層、貴族、商人の贅沢、王朝衰退期の宦官の横暴、そして精神的な贅沢の追求について述べる。

贅沢というと金を趣味に湯水のように使うことを思う。西太后等はそのイメージが当て嵌まるが、本書ではとんでもない殺人鬼まで採り上げる。従って、本書でいう贅沢三昧とは個人的快楽・欲望の飽くなき追求と解される。

王朝(特に明)の腐敗を示す宦官の横暴になじみの薄い人には、王朝が倒れるパターンを知る良い機会になる。商人の贅沢では金瓶梅や紅楼夢に触れるので、「中国の五大小説(下)」の前触れとなり、精神世界への没頭は「中国の隠者」と重なる部分もある。これらの作品の併読がお薦め。

物質的贅沢の追求の果てに精神的贅沢の追求が始まるのではなく、古くから両者は併存している。その振れ幅を実感できる本だ。それにしても、何事も大陸的スケールの大きさにはあきれる。
読み物・入門書・文献ガイドとしてならお奨め ★★☆☆☆
 タイトルにもなっている「酒池肉林」から始まり清の西太后に終わる、中国の贅沢三昧の歴史を通観した解説書である。皇帝、大貴族、商人、宦官などが実際に行った贅沢のほか、『紅楼夢』『金瓶梅』などのフィクションや、知識人の「精神の贅沢」についても取り上げられている。
 全体的に見て、コンパクトな割に引用されている資料は多く、入門者むけの手引き書やこの分野に興味のある読者への文献ガイドとしては役に立つだろう。ただ、基本的に内容が「広く浅く」で個々の事例に対する分析に物足りなさが残り、それぞれの時代に詳しい人であれば「ちょっと違うのではないか」と思うような記述も多い。一例をあげると、p.37では秦の始皇帝が飲食・音楽・女性に興味を示さず、ひたすら巨大プロジェクトの実現のみに熱中する人物だったかのように書かれている。確かにそういうワーカホリックな部分はあったにせよ、実際には、始皇帝が後宮に多数の美女を蓄え、また音楽の愛好家でもあったことを示すエピソードが『史記』などにはちゃんと載っているのだが…。文章も、書き方が大仰で読んでいて疲れる上、ところどころに首をかしげるような表現が見られる。例えば著者は文中で「エントロピーの爆発」という表現を頻繁に使っているが、エントロピーは爆発などしません。
 初心者・入門者向けの読み物としては一応お奨めできる。一般向けの文庫本であれば3つ星としただろう。ただ、専門的な調べ物のための資料としては、残念ながら少し内容が薄いように感じた。
テーマはユニークだが ★★☆☆☆
中国における贅沢の歴史について書かれた本。皇帝・貴族・商人・文化人などにとっての贅沢の様式について書かれている。贅沢の歴史というテーマ自体は非常に良いのだが取り上げている例・エピソードがやや偏っている気がする。正直に言ってしまえば期待していたほど面白くなかった。例えば「人の乳で豚を育てた」とか「蝋燭を飯炊きに使った」とか、こういうぶっ飛んだエピソードをもっと読みたいと思うし、贅沢とは直接関係無い話が長々と挿入されるのは読む側を退屈させてしまう。テーマは良いし筆者の考えにも共感するところは多かっただけに「もっと上手く作れたはず」と悔やまれてならなかった。
皇帝はひたすらに孤高の贅を目指す ★★★☆☆
 最高の贅沢とはどんなことなのか。長い文明の歴史を持つ中国ならではの贅沢にこそその答えがあるだろうという興味のもとに読んだ。「史記」、「紅楼夢」、「金瓶梅」、「資治通鑑」というあたりが主な資料となることから、残念ながら私にとって新規な内容は多くなかった。ともあれ、貴族たちの贅沢が、競い合うことで洗練の度合いを増すとか、蘇東坡のものにこだわらない考え方、というあたりには感心した。
贅沢は悪? ★★☆☆☆
 講談社現代新書の同名の著作を文庫化したもの。皇帝の贅沢、貴族の贅沢、商人の贅沢と話が進められ、宦官や酒についても触れられている。

 この本の最大の欠点は、皇帝の贅沢から語り始めてしまった点にあるだろう。皇帝の贅沢はさすがにスケールが大きくて驚かされたが、それに比べると貴族や商人の贅沢は、ささやかな楽しみ程度にしか見えない。拍子抜けというか、がっかりする。

 また、贅沢の記録を並べ立て、批判するばかりで、なぜ贅沢が行われたかについては十分な説明を与えていない。肥大した欲望の結果であるとか、歴史の呪われた部分であると切り捨ててしまう著者の態度には疑問を感じずにはいられない。贅沢に関する数値(あきらかに誇張されたもの)をよく吟味せずに受け入れ、強調しているのも信頼性に欠ける。エントロピーの語の誤用はもちろん、文章からうかがわれる著者のいい加減な態度には首をひねってしまった。