精緻なモデル化が重要!
★★★☆☆
開発経済学と新経済地理学の共通点を述べたもの。それは、50〜60年代に花開いたがその後無視されていたという点。
一章では開発経済学において収穫逓増という観点が無視されてきたことを強調する。Rosenstein-Rodanのビッグ・プッシュ論を扱い、その規模の経済性の仮定と弾力的な労働移動の仮定について重視する。Myrdalの「循環的累積的因果関係」、Hirschmanの「連関」という(適切な)アイデアを出したものの、開発経済学者はそれらの精緻なモデル化に失敗したために排除されるようになったとしている。
二章では空間経済学において収穫逓増という観点が無視されてきたことを強調する。Thunen卿の土地利用モデル・中心地理論・循環的累積的因果関係は地域経済を考える上で有効な直観を含んでいたのに、やはりモデル化に成功しなかった為に日の目を見なかったとされる。
三章ではモデル化の重要性を語る。メタファーが好きな人にはもっと細かく考えろとし、モデルが好きな人には、方法が上手く行かなかったとしてもアイデアは捨てるなと語る。無関心の進展は避けなくてはならない。