この本が際立っている点は、作者の公平で率直な書き方にある。アメリカの国際政治学者でここまで自国に与することなく冷静に分析できる人物がいることに、新鮮な感動を覚えた。同じ職業でも自ら保守的と認めるハンチントンとは大いに異なる。
チョムスキーやアルンダティ・ロイのような饒舌さはなく、マイケル・ムーアのような激しさもなく、ボブ・ウッドワードから受ける「書けない事情」も感じない。そこがジョンソンの特異なところであり、ほとんど自然に読めてしまう。また、得られるものも多く、今までのアメリカについて何かを考えざるを得なくなる。
この超大国の独善ぶりを目の当たりにすれば、とかく「盲従的」といわれる日本の対米姿勢にも再考の必要があることを暗に示しているように思えた。こういう学者は日本でもっと注目されるべきだろう。この良書が他の著作に比べてとても安いというのもうれしい話で、是非一度読んでみて欲しい。