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アメリカ帝国への報復

価格: ¥2,520
カテゴリ: 単行本
ブランド: 集英社
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戦後史についての最も優れた本 ★★★★★
著者はアメリカの東アジア研究において最も優れた学者だと思う。
エズラ・ヴォーゲル氏などよりも。
 
わたしにとっては、9.11の予言の書となったことよりも、
旧ソ連は東ヨーロッパに、アメリカは東アジアに衛星国システムを
作って冷戦を戦ったのだという指摘の方が衝撃でした。

戦後の東アジア世界でアメリカがどういうことをしてきたのか、
いかにアメリカ帝国が傲慢になったかを痛烈に批判して、
アメリカ国民に警告を発している本ですが、日本人も是非読むべき一冊です。

アメリカ人だけでなく、日本人も知っておくべきアジア情勢 ★★★★☆
本書は現代アジア地域における米国よる支配の構造を暴き、警告するものである。本書の「帝国」という言葉の定義には大英帝国の植民地に言及されるものでなく、政治経済の分野で米国と同じシステムを強要し、依存統治による状態を指す。冷戦構造の中でこの「民主主義」や「自由市場経済」は「共産主義」と対抗視され、国土と共に守られる必要が説かれた。結果、アジアには多くの米軍が派遣され反共の防波堤となった。ここにアジアにおける親米政権(自民党、朴正煕や全斗煥など)が誕生するが、他方で敵意の種(沖縄基地問題と米軍兵士の犯罪、済州島住民蜂起や光州事件の反共・反体制派への弾圧、対中封込め政策など)がこの地域に蒔かれた。

著者は米国が軍事力や経済介入によるアジア秩序から手を引くことを警告する。さもなければ米国自身がこの地域での因果応報によって大きなしっぺ返し(Browback)を招くというのである。それはアジア諸国が戦後の復興の中で米国が提供する経済援助や恩恵を利用「させられた」わけだが、これによってアジアの「奇跡」と謳われる経済復興や近代化は米国のシステムの正しさを世界に示す役割を果たした。ただしこれは米国主導の経済への依存を助長させ20世紀最大の経済危機を引き起こす根本的な原因となった。またアジア諸国はこの地域における安全保障上(戦域ミサイル防衛など)からこの特殊利益である軍事産業政策を潤す羽目になるが、それは軍事産業の拡大と米兵の「下半身」の欲望を満たすだけでこの地域の反米意識を増大させるものでしかない。米国の北朝鮮や中国ナショナリズムや「人権問題」に対する外交姿勢に関しても、この地域における米国主導の安全保障を正当性を確立するレトリック(「米国の世界秩序」)に意義をもたせる米国の意図が見え隠れする。健全で対等な関係には「マッチポンプ」のような外交は要らないことに気がつく必要がある。

質の高い米国の新帝国主義批判 ★★★★☆
 知日家の草分け的存在であるチャルマーズ・ジョンソンによる、アメリカの帝国主義的対外政策への警告の書である。アメリカが世界規模で展開する帝国主義的、つまり国益のために他国の犠牲も厭わない、むしろ自国の国益のために競争国の国力を積極的に減退させることを目的とした外交戦略に対して、著者は報復(Blowback)という言葉を用いて、そうした戦略が回りまわってアメリカに悲劇的な結果をもたらすと警告を発している。 東アジアの主要諸国・地域を個々に検証しながら、アメリカの帝国主義を一つ一つ暴いていく本書の議論には、かなりの説得力があることは認める。ただ、あらゆる危機的な状況の背後にアメリカ(またはアメリカの意図に通じた現地政府)の陰謀が存在していると書くことは、それが過度になされているとみなされれば、陰謀論(conspiracy theory)として退けられる可能性が高い。そのような陰謀論のみで戦後の東アジアの政治経済を説明することはできない。戦後史の否定的側面を指摘することは重要だが、現在の倫理的高みに安んじて、当時の状況での実現可能な代替策を示さなければ、その批判の価値は半減する。ジョンソンは、紛れもなく極めて質の高い知日家である。しかし彼の批判を全て鵜呑みにすることはできない。
全ての日本人の必読書 ★★★★★
原書が出た直後に購入したが、翻訳が出たのでそちらを読んだ。それから9月の事件が起きたので驚いた。以前に起きた、ビル爆破計画のようなことが再度起きて不思議はない状況が良く理解できたので。日本経済の興亡の隠れた仕掛けを巡って「通産省の奇跡」という本も書いている著者が、自分の国について、実に克明に分析しているのに敬服する。マスコミならぬマスゴミと化し、アメリカ大本営の下請け情報垂れ流しをしている新聞、雑誌、テレビを見る前に、まずはこの書物をひもとくべきだろう。マスゴミは、本書のことも、チョムスキーのことも触れず、ひたすら戦況報告。本書を読んで以来、あの国は「おおきなオウム帝国」のように思えている。

帝国に率先して従属する二流植民地の国民として、何をすればよいのか考えあぐねている。

予言の書 ★★★★★
予言の書である。この本に初めて目を通したのは今年になってからだが、その綿密な理論に心酔していた時、ふと気付いた。この本は、いわゆる9.11米同時多発テロが起こる前に発刊されていたのである。「そんなバカな・・」、思わず呟かずにはいられなかった。何故ならここにはイラク・北朝鮮とアメリカが引き起こす緊張状態、アメリカとヨーロッパの対立、そして何よりも圧巻だったのが、アメリカがテロの標的になることを正確に予言していたからである。もちろん彼は予言者ではなく、ひとりの研究者である。しかしそのひとりの研究者が,綿密な理論により現在のアメリカが引き起こす危機的状況を、導き出していたのである。この事実だけでもお金を出して手に入れる価値はあるが、また更なる「予言」についてそれが果たして的中するかどうかを見守っていく喜びも得られる点においても、ここ数年の中で最高にコストパフォーマンスの一冊であると思う。