戦後の東アジア世界でアメリカがどういうことをしてきたのか、
いかにアメリカ帝国が傲慢になったかを痛烈に批判して、
アメリカ国民に警告を発している本ですが、日本人も是非読むべき一冊です。
著者は米国が軍事力や経済介入によるアジア秩序から手を引くことを警告する。さもなければ米国自身がこの地域での因果応報によって大きなしっぺ返し(Browback)を招くというのである。それはアジア諸国が戦後の復興の中で米国が提供する経済援助や恩恵を利用「させられた」わけだが、これによってアジアの「奇跡」と謳われる経済復興や近代化は米国のシステムの正しさを世界に示す役割を果たした。ただしこれは米国主導の経済への依存を助長させ20世紀最大の経済危機を引き起こす根本的な原因となった。またアジア諸国はこの地域における安全保障上(戦域ミサイル防衛など)からこの特殊利益である軍事産業政策を潤す羽目になるが、それは軍事産業の拡大と米兵の「下半身」の欲望を満たすだけでこの地域の反米意識を増大させるものでしかない。米国の北朝鮮や中国ナショナリズムや「人権問題」に対する外交姿勢に関しても、この地域における米国主導の安全保障を正当性を確立するレトリック(「米国の世界秩序」)に意義をもたせる米国の意図が見え隠れする。健全で対等な関係には「マッチポンプ」のような外交は要らないことに気がつく必要がある。
帝国に率先して従属する二流植民地の国民として、何をすればよいのか考えあぐねている。