SFじゃないから、なおさら怖い
★★★★★
日経新聞の書評を読んで、早速買った。
本は厚いが、その厚さが気にならないほど、
一気に読める。
戦争が、今、どんな状況にあるのか、
ロボットが使われることで、今まで想像もできなかった問題が
次々と出てくる。
今までロボットを導入した戦争の経験がないから、
やってみて初めてわかることばかりだ。
戦場で実際にロボットを使ってみると、兵士がロボットへ過剰に
感情移入をして、自分の命の危険を省みずただの機械である
ロボットを救い出したりする。
ロボット開発の話もおもしろい、人間はどこまで創造的になれるのか、
どこまで効率化を追求して、非人道的になれるのか、
背筋が凍りつくような話だが、
これが現実なのだ。日本のロボット技術が心ならずも
簡単に軍用に利用されたら、と思うと恐ろしい。
訳はこなれていて、とても読みやすい。
広汎な問題を扱った良書
★★★☆☆
敵を殺した後にPTAの会合に出席する。
カーツワイルの特異点。
ロボット兵の自衛はどこまで許されるのか。
戦時国際法はロボットにも適用されるべきか(特に知能を持ったロボット)。
戦闘に限らず、上記のような広範囲な問題が扱われている。だから、「戦争におけるロボット」というテーマの出発点として役に立つ。
星5つを与えたいとこだが、訳は誤訳や不適な訳が多すぎる。
例えば、Mineには地雷と機雷の意味がある。この本では海に地雷が、陸に機雷があったりする。
ニューヨーク タイムズはライト兄弟が初飛行した日に、飛行機が発明されるまでには「百万年から十万年かかるだろう」と書いたとあるが、原文は"from one million to ten million years"で「百万年から一千万年かかるだろう」が正しい。「‾から‾まで」というときには、普通、少ない数から大きい数の順で並べる。訳者には、そして、校閲には言語感覚が無い事を暴露している。
英文は平易なので、写真は無いが、英語のkindle版を買う事をすすめる。約1000円だしね。
ロボット兵器への反撃はまた同時テロ?
★★★☆☆
たまたま、NHKが「貧者の兵器とロボット兵器」なる興味深いドキュメンタリーを放送していた。
本書でも各種のロボットの写真を多数収録しているが、この部分ではTV映像の迫力には勝てない。
ロボット化を進めれば、自爆テロの対象が無くなることや、異教徒を国内から駆逐するなどの口実はなくなるのでタリバンは戦意高揚に苦労するだろうが、米国、イスラエル VS イスラム圏の宗教戦争、文明の対立の実態を考えるとロボット化戦争の成功が見え始めてた段階で、また米国本土に対する大規模テロに重点を移す感じがする。
本書の後半で問題点が論じられてはいるが、人類の難題である。