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Freefall: America, Free Markets, and the Sinking of the World Economy

価格: ¥1,281
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: W W Norton & Co Inc
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間違った経済学が今の世界の根底にあることを教えてくれる ★★★★★
オリジナルは2010年リリース。邦訳は2010年2月28日リリース。自身ジョン・ケインズの後継と宣言する(本作6ページ)ジョセフ・スティグリッツの最新作である。

ここまで最近の経済学の本を読破してきて、見えてくるアメリカ、そして世界の実像において、諸悪の『論拠』たるものはミルトン・フリードマンの経済学だ、という認識を持つに至った。つまるところ、経済学というのはその時の市場の『基本ルール』たる存在だ。そこで用いられている考え方に、『格付機関』たるノーベル経済学賞までつき、それを讃えるメディアにピュッツリアー賞が付与される。世界を騙せて当然だろう。

つまりここに諸悪の根源たる誤った経済学が存在する。それがフリードマンだ。そして、それらを根拠に自身の施策を正しいと信じさせた輩がいる。それがグリーンスパンでありポールソンだ。こういう連中から最も遠く離れたところにいて、正に正しく、自由に述べているのがこのスティグリッツということになると思う。重要なのは、読み学習することが『阻害』となる書物が存在することだ。それがフリードマンそしてグリーンスパンの著作だ。日本ではコイズミ内閣の竹中平蔵がこれにあたる。フツーのひとはこの事実にまでおそらく到達しない。ほとんどフィーリングでものを言う。非常に残念なことだが、それでは彼等の思うつぼだろう。

スティグリッツのように中立の立場にいて経済学を説く賢者の重要性をまざまざと感じた一冊だった。推薦!!
金融にイノベーションなし ★★★★☆
2008年の金融危機関連本の一つですが、何が起きたのかということよりもその原因分析とこれから何をすべきかの検討に重点が置かれていますので、何が起きたのかに自信がない方は、別の本(PaulsonのON THE BRINKがおすすめ)で復習をしてから読んだほうがよいと思います。Stiglitzは政府による金融規制の必要性を外部不経済(externalities)の観点から強く主張しており、規制はイノベーションを阻害するという金融業界からの反論に対しては、これまで社会に役立つ金融イノベーションなど一つもなかったことを再三にわたって論証しています。これから成すべき事は金融改革に留まらず、グローバルな観点からの経済改革が必要であり、その目的となる新しい社会のあり方に関する議論で本書は締めくくられています。経済学に基づいた議論が多くちょっと難しいところもありますが、ジャーナリストや危機当事者達の書いた金融危機関連本とは違った深みがあると思います。

内容的には星5つですが、索引がないのに加えて目次が雑なために読み返しにくく、星4つとしました。
スティグリッツ教授にはSchadenfreudeの資格があるかもしれない。 ★★★★★
スティグリッツ教授は、クリントン政権時代に好きなコトを好きに言って大統領経済諮問会議(CEA)の同僚たちを怒らせ、世界銀行に島流し(かどうかは分からないが)になった後はアジア金融危機をきっかけにIMFをタコ殴りにし、「IMFは一流大学の三流学生の集まり」と世界中にバラしてしまった、じゃなく、「ウォールストリートによるウォールストリートの為のウォールストリートのIMF体制」を批判し続けた。結局は世銀でも厄介者扱いされたスティグリッツ教授だが、2001年にノーベル経済学賞を受賞した。本書の教授は「それ見たことか。オレはこうなるって知ってたんだ」と大いに溜飲を下げている。
突然だが、私は昔から「アメリカみたいな超大国相手に戦争を挑んだ日本は愚かだった」とかいう言説が髪を掻き毟るほどに嫌いだった。事後にイロイロ言うなら誰もが賢人に決まっている。傍観者や野次馬が何を語っても意味がないという領域がある。私は2007年勃発の金融危機も戦争みたいなものだったろうと思っている。クライブ・バーカーの超名作短編『丘に、町が』のイメージである。「無数の人間の血肉で作り上げた巨人の発狂」である。しかも今回の思想戦は大量殺戮などは伴っていない分かなりマシなんじゃないかとさえ。だからか、ポールソン元財務長官の回想録の「後になってぎゃあぎゃあ言っても仕方がない」という調子も嫌いではない。
スティグリッツ教授は危機の遥か以前からぎゃあぎゃあ言ってきた方なので、後になってぎゃあぎゃあ言う資格もあるのだ。という訳で、金融危機勃発の背景、銀行救済策の批判、新通貨体制の提唱、身を持って生きてきた「経済学界における思想戦」の解説(Homo Economicusとは人間モデルではなく経済学者の自画像だそうだ)、そして最後には「人の道」を説くお説教を堂々と展開する。経済・金融は人間が住まう脂臭い世界であるから、道徳倫理とは切っても切れない。究極、数理モデルではなくここに辿り着くらしい。