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フリーフォール グローバル経済はどこまで落ちるのか

価格: ¥1,890
カテゴリ: 単行本
ブランド: 徳間書店
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政府の重要性を説くも、市民が見えない ★★★☆☆
無理やりにでもグローバリズムというタイトルで流通されるスティグリッツの著作だが、今回の矛先はアメリカ政府とそれを動かすウォール街だ。

大金融機関の、資本主義経済の中核をなし、潰すことはできないという特性を楯にする一方で、政党に大金を寄付することで、ウォール街に供与を図れる人材を政府に重用させるという両輪のふるまいによって、現在のアメリカの政策は形成されている。それだけのお金を持って救うことができたのは、自ら持続不可能な道を選んだ金融機関の関係者だけであり、ローン地獄にはまった一般市民が救われることはなく、成長のための投資にもお金が回らなかった。

ウォール街の論理に対しては、彼自身が発展させてきた理論をもって批判する。批判の論理が経済理論的な面に関してはもっともなのだが、実証的な面に関してはジャーナリスティックなものが目に付く。実際に政府をどうコントロールするのかというのもよくわからない。スティグリッツは民主主義の危機だと言っているが、民主主義を語るには、市民の責任について言及しなければならなかっただろう。政府の重要性を説いたところで、政策の成否を決めるのは市民である。

啓蒙書として広く流通させるには悪くないだろうが、2010年初頭に稀代の経済学者が書く本としてはいささか残念なところがある。
間違った経済学が今の世界の根底にあることを教えてくれる ★★★★★
オリジナルは2010年リリース。邦訳は2010年2月28日リリース。自身ジョン・ケインズの後継と宣言する(本作6ページ)ジョセフ・スティグリッツの最新作である。

ここまで最近の経済学の本を読破してきて、見えてくるアメリカ、そして世界の実像において、諸悪の『論拠』たるものはミルトン・フリードマンの経済学だ、という認識を持つに至った。つまるところ、経済学というのはその時の市場の『基本ルール』たる存在だ。そこで用いられている考え方に、『格付機関』たるノーベル経済学賞までつき、それを讃えるメディアにピュッツリアー賞が付与される。世界を騙せて当然だろう。

つまりここに諸悪の根源たる誤った経済学が存在する。それがフリードマンだ。そして、それらを根拠に自身の施策を正しいと信じさせた輩がいる。それがグリーンスパンでありポールソンだ。こういう連中から最も遠く離れたところにいて、正に正しく、自由に述べているのがこのスティグリッツということになると思う。重要なのは、読み学習することが『阻害』となる書物が存在することだ。それがフリードマンそしてグリーンスパンの著作だ。日本ではコイズミ内閣の竹中平蔵がこれにあたる。フツーのひとはこの事実にまでおそらく到達しない。ほとんどフィーリングでものを言う。非常に残念なことだが、それでは彼等の思うつぼだろう。

スティグリッツのように中立の立場にいて経済学を説く賢者の重要性をまざまざと感じた一冊だった。推薦!!
アメリカ・市場原理主義・世界 ★☆☆☆☆
市場原理主義への強い批判をもった本です。ただ著書の中に
しばしばアメリカだけが市場原理主義であるかのような記述
がみられれます。無論、インド、中国のように市場原理主義
をいまだに強く推進し且つ擁護する国に対してはどのように
対処するかの処方箋はみられません。アメリカと日本だけが
市場原理主義を放棄すればすむ問題ではないでしょう。
どちらかと言えば経済学の議論を変更すれば経済の問題も解
決できるといったあくまで経済学者的スタンスでしょうか。
かつて金子勝氏が述べたようにアメリカにも新たな枠組みを
提示する蓄積はないように思いますが。
歯ごたえがない感じ。 ★☆☆☆☆
斬新な意見を期待していたが、そんなに参考になる意見はない。なぜなら、もうすでに言い尽くされてしまった議論で、目新しい話はない。そして言い尽くされた議論をこれまた言い尽くされたような話で実例を挙げるので、本の厚さほど内容はない。結局、著者の分析は正しいのだろうけど、あまりにも普通すぎて、この本に興味があって買おうとする人は、それなりに情報を得ている人だから買ってがっかり感はあるだろう。ちょっと「歯ごたえがない感じ」だ。
アメリカ型金融資本主義を、誰も本気で擁護できなくなってしまった ★★★★☆
「フリーフォール」といっても経済が無限に落ちて行くというような
怖い予測をする本ではない。むしろ、サブプライム問題前後の
米経済を分析し、強欲な金融業界を糾弾するとともに、ブッシュ、
オバマ両大統領の政策の欠陥を指摘する本だ。

スティグリッツ教授は言う。
「リーマンブラザーズが破綻した2008年9月15日は、
 市場原理主義にとって特別な意味を持つ日となる。
 ・・・アメリカ勝者説は終わりを告げる」、と。

かつてアメリカが誇った証券化という「金融イノベーション」は、
より市場を効率化し、多くの人々が住宅を持てるようにするはずだった。
だが、開けてみれば、過剰なリスクテークと、リスクの隠蔽という型で、
投資家と株主を欺き、中低所得者のなけなしのお金は、
彼らの巨額のボーナスに消え、損失は世界中に輸出された。

効率的な市場を金科玉条とする金融資本主義が、情報の不平等を
わざと作り出して、自分たちだけが儲けようとしたのだ。

この日以降、社会は「信頼」を失った。市場経済も当然、「信頼」なし
では立ち行かない、ということを言いたいのだろう。

業界の人の中には、大きめのバブルが弾けただけで、これまでと
同じように、また復活し、同じ事が繰り返されるだけだ、という
人もいる。

だが、教授が言う、新しい社会を生むことができるのかどうか、
私たちも何か貢献できないか、考えてみたいと思う。