第3番の終楽章が素晴らしい
★★★★☆
この時期の弦楽四重奏曲には、未だハイドンの影響が色濃く残っています。
それは逆に言えば、聴きやすいという事かもしれません。
このCDでの愁眉は、第3番の終楽章だと思います。
半音階で進行する旋律が多用され、何とも切ない気持ちになります。
穿ち過ぎかもしれませんが、まるで恋に陥った甘酸っぱい感情を表しているようです。
この曲を書いた時のベートーヴェンはとても幸福だったのではないでしょうか。
スメタナ弦楽四重奏団の演奏も素晴らしく、例えばブタペスト弦楽四重奏団の
怒涛の演奏では、第3番のとても微妙なこの感じが、表れてこないように思います。
録音自体は、最初期のデジタル録音で、バイオリンが若干、細いように感じられますが、
それが却って、この曲に合っているように思われます。
第3番、これを聴くだけでも、買う価値のあるCDだと思います。