本書は「ハシディズム賢者の寓話」が２０
のっています。「ハシディズム」とは、ユダヤ教の神秘主義ですが、
各々を独立して読んでも面白いので私はそれだけを最初に
読んでしまいました。どれも印象的なのですが、
二つだけ短く要約して紹介させていただきます。

　一人の少年が、父と共に、ラビのもとにやって来ます。
　父は少年が「我慢強い子」になるような説教をラビに頼みました。
　ラビは彼と二人きりになると、少年を胸に引き寄せ、無言でただ
ずっと抱きしめていました。
　ラビは父親に「十分に叱っておきました。この子は我慢強い子になる
でしょう」と言いました。
　少年は成長しラビ・レコヴィッツとなりましたが、
自分の大成した理由はこの経験だったと言いました。

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　ラビ・エイジクは、夢の中で「王宮の近くの橋の下に宝物が埋
まっている」と告げられます。
　彼が橋に行くと、番兵が見張っていて穴が掘れません。
　そのうちに番兵が来て「エイジクという名の人の家のストーブの
下に宝物があるという夢を昔見た」と告げ、彼は帰宅して埋まって
いた宝物を手にします。

　ちなみに、これらのエピソードはブーバー自身が１冊の
本にまとめたものからの紹介だそうです。
　これら章末のエピソードと、
その本書全体（または各章）のメッセージとの関連を考えてみるのも
よいかもしれません。

　本書は記述がわかりやすいのでどなたにもおすすめです。

　

マルティン・ブーバーの思想を、引用とエピソードをわかりやすく並べて、初めてブーバーに触れる読者にも丁寧に教えてくれる本でした。
　引用した言葉やエピソードは、一つ一つ引用元を明確にしてくれているので、興味をもった人には別の本を知る手引きにもなると思います。

　ブーバーの愛のこもった思想もさることながら、本書の著者が、それを読者に熱意をもって語りかけてくれるのも非常に好感を持ちました。それでいて押し付けがましさはなく、ブーバーやユダヤ教についてもっと深く知りたい、と思わせてくれる語り口でした。
　
　また、本書には、ハシディズム賢者の寓話・エピソードが、章のあいまに挿入されているのですが、それが、とてもおもしろく、それだけを集めた本がないかと思ってしまうほどです。
　シンプルな寓話なので、ユダヤ教とは関係ない読者にとっても、きっとおもしろく感じると思います。仏教の本生譚を思わせる、ユーモアと智慧に満ちた話でした。

　難解な語り口ではなく、共感的な思想なので、精神的に落ち込んでいるときなど、是非再読したいと思わされました。
　　ちなみに同じ著者が「フランクルに学ぶ」も書いてますが、そちらもおすすめです。
　本書とこの本を読んでいるあいだ幸せなひと時でした。「神谷美恵子に学ぶ」なんて本も出して欲しいところです。

人が生きていく上で必要なものは愛だと思います。
でも、愛を実践するのは結構大変です。
疲れたときや生き方が分からなくなった時、傍に一冊あったら安心です。
まず、読んでみてください。

ブーバーとは聞いたことが無い哲学者だが、知識が無い人でも
読み易い内容です。

あまり知られてない哲学者を掘り起こすと言う意味でも、意義ある一冊
であると思う。

生き方上手の日野原先生が推薦するのもうなずけるものだと思う。

ハイデッガーと並ぶ２０世紀最高の哲学者といっても、
代表作「我と汝」は難解です。私は読み切れずに挫折した
ことがあるので、入門書がわりに読んでみました。
非常に丁寧な力作です。
洗練された文章で、とても読みやすく、１章１章、まと
まっていてわかりやすく書かれています。
読み終えて、ブーバーの思想がこんなにも素晴らしいもの

だった事が、よく解りました。「ハシディズム賢者の逸話」
という小話が２０話挿入されていて、それも面白かったです。

ブーバーの説いた「我と汝」の理解しあえる関係性を
築き上げるヒントが章の終わりに書いてあります。
日常生活のなかで、「私とあなた」の関係で悩む方必見です。