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「エンジンのないクルマ」が変える世界

価格: ¥1,680
カテゴリ: 単行本
ブランド: 日本経済新聞出版社
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自動車業界から学ぶ戦略の重要性 ★★★★★
日本の主要産業である自動車業界がEVによって大きく変わろうとしている。
EVのコアになる電池技術の分かりやすい説明はもちろん、技術革新による競争構造の変化について、自動車メーカーや素材を供給する企業、
インフラを提供する企業など、国際的に産業全体の視点から分析し、将来を予見している戦略思考の一冊です。

日本の産業は「モノづくり」を中心とした製造業などで競争優位を獲得し発展するものの、グローバル市場ではその多くが優位性を維持
できないでいる。
戦略の失敗による国際競争力の低下が日本の中心的な産業である自動車業界で起こることになれば、日本の経済にとって大きな打撃になる。
そうしたなか筆者は、グローバル市場のなかで日本の産業が生き残るには、民間企業だけでなく国の政策を含めた戦略が必要と警鐘を鳴らす。
現在の日本は先行き不透明な状況でありながらも、政策から未来の戦略は見えてこない。
本書は本質的な戦略の重要性について開眼させられる内容であり、一読の価値があるでしょう。
電気自動車業界における将来のキーストーンは? ★★★★★
パソコン業界のように、「電気自動車もモジュール化が進み、リチウムイオン電池を支配する者がビジネスシステムのキーストーンになるのだろう」という浅はかな考えを一喝してくれる一冊です。但し、これには大前提条件があります。筆者曰く、「消費者の価値尺度が「環境志向」へと変化し、かつ利用者の利便性を向上すべく社会インフラが整備されて、電気自動車はプラグインハイブリッド車を凌駕する。」という主張に共感できればの話です。
本書では、リチウムイオン電池のイノベーションが不確実で半導体業界のようにムーアの法則に従わないこと、自動車用リチウムイオン電池にはPCのOSやCPUのようにネットワーク互換性のメリットが小さいことからリチウムイオン電池が自動車業界のインテルやマイクロソフトのような存在になる可能性は小さく、一方で電気自動車でも当然に安全性や快適性が要求される以上、複数の部品業者のインテグレーション力に競争優位を持つ自動車会社が依然としてビジネスシステムのキーストーンであり続ける可能性が高いことを示唆しています。もっとも、電気自動車が破壊型イノベーションに属する以上、持続的イノベーションによって成長してきた大手自動車会社はその地位が陥落するかもしれないということです(クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」を信奉する私としては、その通りだ!と思わず声が出そうになりました)。
このように、簡潔な言葉で論理一貫性を持った主張をなされているところが本書の最大の魅力です。
最後に、環境関連銘柄の投資ポートフォリオを考えている方にも、本書を読むことで一助になるのではないかと思います。
表面的な参考本 ★★☆☆☆
常識的な概観はできる。マンション管理組合としては共用駐車場の充電設備はどのように考慮されているのか知りたかったが参考になる記述はどこにも無い。
終わりの方で東電が登場しているが、その際に取材できなかっただろうか?
一戸建ての夜間充電だけが可能ということであろうか、どうも片手落ちの感。
勉強になる本です。 ★★★★★
自分は単なるエコカー保有者として興味があったので、読んでみました。
エコカーが将来様々な産業に波及することの可能性がわかりやすく書いてあります。
日本がこれから自動車産業で引き続きトップを走れるかどうかは、
日本の産業全体に大きな影響を与えうる問題だと再確認させられました。
政府がどれだけこの成長分野に投資してくれるかが重要だと思います。
私のような素人でも読みやすく、勉強になる本です!
日本の技術力は生き残れるか? ★★★★★
今後ますます注目されるEVの将来を考えるにあたって、非常に有意義な本です。
著者の豊富な取材が凝縮されており、戦略的、技術的にも分かりやすく書かれている印象を受けました。
自動車業界のみならず、他業界の方でも気軽に読める本かと思います。

後半の市場予測では、国内外の自動車メーカーのみならず部品メーカーやあらゆる主要産業をも
巻き込んだ考察がされており、圧巻です。
技術力では優位にたつもののグルーバル市場で苦渋を味わうことの多い日本企業の今後の戦略に
ついて、拠り所を示唆してくれます。
メーカーにより記事の量に偏りがあるのが残念でしたが、全体を俯瞰し、今後を考えるうえで
基本書となりうる一冊だと思われます。