読むに値する本
★★★★★
ジョン・F・ケネディの甥っ子が、米空母バンカーヒルに突っ込んだ2機の神風とバンカーヒルについて、膨大な資料とインタビューで綴った本です。
なぜ日本が米国に戦争をしかけるに至ったか、米国が劣勢の序盤をどう巻き返すのか、なぜバンカーヒルという強力な空母ができあがったのか、そしてなぜ日本が神風特攻隊を投入せざるを得なかったのかが克明に描かれています。
1945年5月11日、バンカーヒルには、安則機、小川機の順に突入しますが、小川清がバンカーヒルに突入したということはこの本で初めて明らかにした事実です。
また、個人的には特攻機突入後、バンカーヒルを立て直すべく最善を尽くすカーマイケル機関長の活躍に胸を打たれました。
「彼らの最後の望みは、未来の日本人が特攻隊の精神を受け継いで、強い心を持ち、苦難に耐えてくれることだった。」カバー見返しのこの部分を読んで感情に突き動かされるものがあり、思わず購入しましたが、本を読み終えて、特攻は今に生きる僕らを本当に勇気づけてくれていると改めて思いました。こういったことを日本の歴史を教える学校の先生からではなく、当時敵国だったアメリカ人が書いた本で学ぶというのも皮肉なものです。
著者は、日本とアメリカをきわめて公平、公正にこの本に表現していて、何よりも日本軍、米軍を問わず神風のパイロットや一人一人の兵士、将官全ての人に愛を持って描いていると感じました。
私の父は終戦当時日本海軍の若い士官でした。父の関わった戦争について多くを教えてくれたこの本を父にプレゼントしました。
(2010.08.05追記)本書に関するYOU TUBEを見つけました:
http://www.youtube.com/watch?v=kBN-cEkuPBE&feature=player_embedded