靖国のこえに耳を澄ませて―戦歿学徒十七人の肖
★★★★★
YouTubeで惜別の歌【穴沢利夫追悼FLASH】を見て購入致しました。恋人への手紙で有名な穴沢利夫大尉は恋人を残し25歳で戦死されましたが、多くの人々の尊い犠牲の上に今の日本は存在していることを決して忘れてはいけない、後世に語り継いでいかなくてはけないと思います。
事実は事実
★★★★★
20世紀の一時期、日本とアメリカが戦争をしたのは事実。
その戦争で日本が負けたことも・・・。
その歴史上の意味など、歴史学者や哲学者がいろいろな説を論じることはかまわない。
しかし、それによって事実自体が変わるわけではない。
彼らがどのような思いで、戦地に赴き、戦い、散華されたのか、
遺された日記や手紙などから慮ることは、日本人として大切な事だと思う。
安全な時代に生まれたわたしたちが、彼らの生き方を軽々しく論評するなどできるだろうか?
この本の素晴らしいのは、第1章である。
17人の若者がどのような環境で育ち、
いかなる葛藤を乗り越えて、あの戦争に臨んだのか。
彼らは頭が悪かったわけでも、狂信的だったわけでもない。
ただ、あの時代を"一生懸命に生きた"だけなのだと思う。
勿論、特攻は戦略としては邪道だと思うし、
あの戦争だってもう少し早く終結に向かわせることができなかったのか、
わたしにも疑問がないわけではない。
それでも、この平和ボケした日本で、安易に、無責任に、
戦争批判をしていい気になっている連中に、わたしは嫌悪感を隠せない。
彼らはこの「学徒」たちほど真摯に現実を生きていない、と思ってしまうのだ。
読んでいて陰鬱になってくる本
★☆☆☆☆
自分が女だからということもあるのだろうか?どう考えても、私はやっぱり他人のためには死ねないし、そんな勇気もない。
だから特攻隊の人たちの凄さを自分は安易に理解することはできない。
なのにこの著者は特攻隊の全てを分かったように書いている。本当に著者は特攻隊員の中に潜む奥深い心や葛藤を完全に理解できたのだろうか?
本書に流れる掛け値なしの特攻隊への賛辞が、何かうそ臭く、読んでいて陰鬱になってくるのである。
日本人の特攻隊観を混乱させる砂漠の悪ガイド
★☆☆☆☆
歴史の神秘に育まれた国家とは祖先の英知が結集され、それが堆積したものであり、白鷺城のような美しい建造物である。
そのような国家という歴史の神秘が危機に見舞われたならば、そこに自らの生命をも捨て去りその危機を救おうとする勇者が現れなければその国家の存続は危うい。
まさに特攻隊とは「生きること」よりも「自らの死」を選び、日本国の悠久の存続を願った高貴な勇者たちである。
ところが本書の著者は確かにこのような特攻隊を一見崇敬するような主張を展開しておきながら、一方で靖国神社において毎年開かれる「生きるということ」なる怪しげなイベントのパネリストでもある。
生よりも死を選んだ特攻隊の方々に失礼極まりない催しではないのか。まさにハイパースキゾ型人間の典型と言ってよい。
一度出席した私からすればそもそもこの「生きるということ」というイベント自体が、とある保守系宗教セクトの教義を布教するための活動の場という印象が残った。
どちらにしろ、「生への執着」をこれほどまでに見せる著者の書からは真の特攻隊への尊敬の眼差しは見えてはこないし、また上記のレビュアーの方が書いておられるとおり哲学的論考も一切欠如した悪書であると私は考える。
テロと特攻を同一視する愚
★☆☆☆☆
特攻とテロとは別物だ。特攻隊は戦争に於いて敵に為される行為である。此に対してテロとは軍人が守るべき民間人を殺傷する卑劣な行為である。日本人であればテロと特攻を同一視出来ないはずだ。
愛国者の仮面を被る打越という著者からは何か日本をイスラムと同一視し、日米関係に楔を打ち込もうという邪悪な意図を感じる。戦前の尾崎にも似て、真のスパイ・売国奴は愛国者の仮面を被る。
この著者の詐言に惑わされ、国家の進むべき道を誤るようなことがあってはならない。亡国の書である。