理論と実際の融合
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この本のタイトルは企業年金のリスク管理「術」となっている。「学」とか「論」ではない。そこがこの本の真骨頂をあらわしているのかもしれない。
ポートフォリオ理論に基づくリスク管理の手法は極めて高度化がなされてきている。
しかし、年金基金と言う長期の投資にあっては、単純な仮定のもとに成立する「理論」は、必ずしも、つねに現実に適用できるとはかぎらない。
著者は長年の年金運用の経験と学識をもとにして、理論と現実の間のギャップを埋めるべき努力をしてきた。そのノウハウと哲学がこの本には詰っている。
企業年金担当者はそれぞれの立場で、この本から理論と実務をどう融合していったらよいか、学ぶことが出来るのではないかと思う。