解説されているのは、リスク・バジェッティングやVaRと伝統的リスク管理手法との比較やリスク・バジェッティングの実践方法です。
多くの実務家が執筆した論文を集めて1冊にまとめています。ほとんど類書がないので、資金運用をする上でのリスク管理に新たな視点を与えてくれる1冊です。こうした点からすると、リスクマネージャーにとっては非常に役立つ内容と言えそうです。
年金運用に従事する運用担当者などを対象にした内容ですので、そうした人たちには欠かすことのできない1冊となりそうですし、リスク管理に従事する担当者の新たなバイブルとなりそうです。
編者は「米国では、オルタナティブ資産を組み入れたアセットアロケーションについてリスク・バジェッティングの利用を始めている」という背景をとても意識して編集している。特に読んで面白かったのは4章、10章、11章である。4章は、日興證券インターナショナルのワイズマン氏がヘッジファンドのヒストリカルデータを使用する危険性について書いた論文である。とても有名な論文で、新聞でこの論文があることを知り、内容を知りたいと思っていた。10章はシステムインフラの課題について書かれたものである。こういった話についての本が他にないので、とても参考になった。11章は、オンタリオ基金のビーバー氏が取り組み実例を紹介したものである。とても有名な論文でいろんな人がこの論文を引用しているのを見かける。
とにかく、内容については申し分ない。必読書であり、バイブルだと思う。★を1つ減らしたのは、その価格ゆえである。高い!(原書はさらに高い)個人で買うには勇気が必要だった。