内容は、第3巻にして早くも悲惨の一言であり、読み続けることに苦しみを感じるほどである。これを読んで、航空戦というものが理論と計算に則ったものであり、航空機の開発から戦術まで含めると、実にシステマチックなものであることがよくわかる。そちらにパイロットの高度な技量とこの時代独特の張りつめた精神主義が加わって、ステレオタイプ化された「愚かな戦争」という表現ではあらわせられないものが見事に表現されている。言い換えれば、「戦争」は愚かな企てであるとしても「戦闘」には合理的な計算が必要であるわけだ。無為無策の精神主義のうちに負けていったという単純なものではなくて、合理的に計算し、総力を挙げた努力をし、超人的努力と技術と天才的ひらめきと勇気のすべてを傾けて戦い、全く勝算なく完膚無きまでに津波に飲み込まれるように負けて屍となっていったのである。「ダメだったから負けた」のではなく、すばらしい力を発揮して、しかもひねりつぶされるように負けたことに戦慄を感じる。そして、その背景にある日本のくらい部分が、今