エイミ・タンは運命を信じる一家に生まれ育った。『The Opposite of Fate: A Book of Musings』で彼女は、一家の伝統と現在のアメリカが置かれている状況に思いをめぐらし、彼女自身の運命観を創造しながらも同時に過去を尊重する方法を探っていく。小説を書くこと、家をお守りで飾りたてること、スキーを習うこと、リスたちと暮らすこと、脳の病気を患う3人の家族と折り合っていくこと、天災を乗り越えること、医師とコンサート・ピアニストになってほしいという家族の呪縛と期待を振り払うこと――彼女は日々の出来事や考え方の中に答えを見出していくのだ。
エイミ・タンの魅力的な小説を特徴づける気迫やユーモア、そして魔力を本書も備えている。タンが与えてくれるのは、今に生きる私たちが直面するこの世の抑鬱と不安を解消するさわやかな解毒剤だ。彼女自身の人生と死後に物事がいかにして起こるかを静かに考えながら、それでも彼女は常にある疑問に立ち戻る。運命と、運命に抗う選択や幸運のお守り、影響や考え方、幸運な偶然について。人はだれでもこうしたものに形作られているものなのだから。
どうして人はなかなか今恵まれている幸せに素直に感謝することができないのだろうか。これまでの人生を強く顧みる動機となりました。めぐりあわせにまずは感謝。
彼女は自分がフィクションを通して描こうとしているのはHopeだ、と書いています。なぜ作家となり書きつづけるかを語る、この本の中の彼女の意思は、彼女の祖母、母、そして彼女自身の経験とからみあい、どのような成り行きで彼女の文章の果てしない広がりを生むことになったか、その理由、謎を少し教えてくれる気がします。と書くと複雑そうに聞こえるかもしれませんが、いつもの通り彼女の不思議なほどの明快・率直さは小説でなく生の声で語られると一層読みやすい形で現れています。
ちょっと厚めのエッセイを集めている形で、英語もあまり難しくないと思います。