良い演奏です!
★★★★☆
このアルバムは、よくあるようなアダージョ楽曲を集めたヒーリング音楽志向ののものとはニュアンスが違う。 それは、例えば、エルガーの「弦楽のためのセレナード」全曲やドボルザークの「ノットゥルノ」、それに レスピーギ「リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲」全曲をピクアップしているところにうかがえる。 言ってみれば、ちょっと玄人好みの上品で味わい深い選曲集ともいえる。
さてその演奏だが、先ずこの種の演奏の場合は、必要条件として良質な録音であることが欠かせないのだが、 この点でも満足のゆくものになっている(1989年録音と記載)。
そして、このフィルハーモニック・ヴィルトゥオーゾ・ベルリンは、ベルリンフィルの楽団員から構成 されているとあって、さすがに質の高い弦楽合奏を演じている。14〜15名程度の楽員数であるが、 それがまとまりよく、きっちりとふくよかで、上品な旨味を醸し出している。 取り上げられている曲調においても、この人数構成は最適であるかのように思わせられる。 もちろん、楽団員の技術の高さがあって実現することだが…。
私にとっては、バーバーの「弦楽のためのアダージョ」が特に印象的である。 この曲は、ある時期から流行のように、数多の演奏でCD化されるようにもなったが、 意外に良い演奏が少ないのではないだろうか。
変わらない反復されてゆくテンポが、ともすると退屈な音楽を生んでしまうからだ。 その意味からも、ここでの演奏はすっきりとした高度なアンサンブル作りに成功しているようだ。
ハイドンの「セレナード」やボッケリーニの「メヌエット」の選曲が好みではないので、 ★4つであるが、これらも演奏自体は良いものである。欲を言えば、ディ−リアスやグリーグの小品を 選んでほしかった、ということである。
トータルには、大いにお薦めのアルバムである。
目次がない
★☆☆☆☆
どんな素晴らしいアルバムであろうと、目次がなければ私は買うことが出来ません。評価することが出来ません。
きちんと、1曲ずつ演奏オケ、指揮者、演奏者、作品番号、が書いてあり、しかも、視聴まで出来れば、コメントにも納得できるし、コメント欄て本当に頼れるなと思い、私も、感想を残そうという気になります。
値段に関係なく、そういうものが売れるというのは分かる気がします。
全く評価できないけど、星付けないといけないようなので、不本意ながら一つ入れますが、1つにカウントしないで下さい。
弦楽アンサンブルの佳曲集
★★★★☆
ベルリン・フィルの名手たちによって結成されているこの弦楽オーケストラは、弦楽ファンなら耳にしておきたい佳曲を変化をつけた順番で演奏している。
おなじみのパッヘルベルのカノン、ボッケリーニのメヌエットでの小気味よい解釈、表題のバーバーやエルガーのセレナードでのロマンティックな表現、最後を飾るレスピーギでの枯淡の味わいなど聴くべきところの多いアルバムである。
名盤なれどなにもそこまで
★★★★☆
名曲集と侮るなかれ。徹頭徹尾、真っ向上段のアプローチに瞠目。
明瞭な形式感と堅固な構成力が「一夜のプログラム」を完成させる。
一世代前のあの強靭な音。鳴るほどに極まるようなアンサンブルが、
レスピーギで満願を成就させる。腕達者のゆとりは一切なし。
パッヘルベルのカノンごときで居住まいなど正されてなるものか、
という御仁には、断然、不向き。