「アダージョ」が曲名に冠されているものばかりを集めたコンピレーション・アルバムです
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全体の曲目を眺めますと、イタリア出身の作曲家とバロック時代の曲目から選曲されているのが多いのと、オーボエ協奏曲から取ったものが多いのに気がつきました。少し物悲しいオーボエの音色とアダージョのイメージが合うのでしょうか。アルビノーニやマルチェルロの曲は有名ですから、映画音楽などにも使われています。
ハチャトゥリアン作曲の「スパルタカスとフリージアのアダージョ」は良い曲で気に入りました。幻想的で優雅な曲ですし、ジェームズ・ゴールウェイの奏でるフルートの音色の美しいこと。このアルバムの愁眉の曲でしょう。
バーバーの「弦楽のためのアダージョ」の緊張感溢れる荘厳な調べはまた格別で、サミュエル・バーバー畢竟の名曲です。マーラーの「交響曲第5番‾アダージェット」もヴィスコンティ監督作品「ベニスに死す」に用いられてから特に愛されるようになりました。官能的な響きは、他の曲にない趣を感じます。
「アダージョ」に収録されている曲を一通り聴きますと、心が安らぎました。
忙しい現代人にとってこのような「アダージョ」の語源の「くつろいで」という時間が必要なのでしょうね。