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ハイデガーの思想 (岩波新書)

価格: ¥840
カテゴリ: 新書
ブランド: 岩波書店
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ハイデガーの「存在と時間」を読むために一生をささげた哲学研究者による、平易な解説 ★★★★★
ハイデガーの「存在と時間」を読むために一生をささげた研究者により、満を持して書き下ろされた著書。上掲書の研究において、悟りの域に達したかのような著者による、実に平易な解説。その平易な中にある深みは、一事に一生を使いきった者しか醸し出せないものなのだろう。
大家だからこその入門書 ★★★★★
ハイデガーといえば、日本でも人気のある哲学者ですが、とにかく、言葉づかいが独特で、とっつきにくい哲学者です。それをとてもわかりやすく、明快に解説してくれています。話のテンポもとてもいいです。しかも、筆者自身もわからないところはよくわかないと書いていて、まじめな研究者という感じがします。
役割を終えた「哲学の解説書」のスタイル ★★☆☆☆
著者の木田元氏は、年季の入った哲学の翻訳者である。或る時期から特に現象学関係の翻訳者、解説者として高名になった。しかし、若い頃は、いろいろ翻訳していて、ジンメルのカント論や、ルカーチのヘーゲル論など、いろいろやっている。後年アドルノなども翻訳している。従って、現代思想については、かなり幅広く渉猟し、その土台に現象学がある、という感じだ。そういう意味でも年季が入っている。ハイデガーには思い入れが深いようだが、しかし、翻訳はシェリング論ぐらいで、主著の類は権利問題のせいか手をつけていない。良い意味で常識が発達しているのか、大体本も良く売れている様だし、手がけた解説書も分かりやすい。従って、入り口の解説としては出色だし見事なのだが、しかし、大体役割を終えたと見てよいと思う。つまりこの人の解説では、あんまり哲学・思想としては分からないのだ。「事実関係」として思想を整理して示す手腕は見事だが、そこにどんな問題があって、当の思想家が何を悩み逡巡したのか、それは伝わってこない。別言すれば、解説を読んでも、同じような問題意識を読者に体験させ、改めて原典へ向かわせる力は全くないといっていい。それと幾度となく同じ話(自分のハイデガーとの出会い)をあちこちで書き散らす癖も感心しない。とにかく、思想とは事実関係で整理のつかないところに何かがあるものだと思う。答えの出ないまま逡巡し、逡巡した場所が広いほど、その思想は大きい、と言う様なことを吉本隆明がどこかで語っていたが、そういうものだと思う。
一流の語り部によるハイデッガー哲学 ★★★★★
ハイデッガーの名を明確に知ったのは、西研氏の本でした。
これは読みやすくて分かりやすかったのですが、
そこからなかなか前へ進めませんでした。

そのような中で木田先生の諸著書に出会ったのですが、
現象学の様々な研究結果を参照しつつ、
ハイデッガーの所論を浮かび上がらせることのできる、
稀有な語り手であると思いました。

この本を買ったのも、ずいぶん前のような気がしますが、
改めて読んでみると、やはり面白い。
木田式ハイデッガー本のとっかかりとして、お勧めです。
入門書としては最適 ★★★★★
さすが、我が国におけるハイデガー解釈の第一人者。ハイデガーの思想的背景を、彼のアリストテレス解釈やニーチェ解釈を織り交ぜながら、縦横に解いてみせる。解らないところは解らないというところも、第一人者の貫禄である。ハイデガーが追求した「存在」の概念に焦点を当てた構成で、彼が、自然を可変な材料としてとらえる西洋形而上学の根本を根底から覆し、存在を世界内で開示されるものとして提示することを企てた、そのいきさつがよくわかる。その意味で、ハイデッガーが晩年踏み込んだ芸術論のありようは注目に値すると思う。ハイデッガーがナチスに加担したことと彼の思想の相関性については、彼の自然感とナチスが称揚した「血と大地」との関連が示唆されるが、どうしても隔靴掻痒の感を免れ得ない。やはりよくわからないということなのだろう。これを読んで、ハイデッガーを中心に、西洋哲学を攻めてみるのがよさそうだという気がしている。細谷貞雄訳の原典はまずまず判りやすいから、そっちを先に読んで、これを読み、また戻ってみると良いかもしれない。