立ち昇るアイラーの霊(Ghosts)
★★★★★
かねてより2枚のギター・ソロアルバムの内で、「Ghosts」「Saints」といったアイラーの名曲をカヴァーしてきたリボーが、ヘンリー・グライムス(b)、ロイ・キャンベル(tp)、チャド・テイラー(ds)といった強烈無比のメンバーと共に満を持して発表したアイラー代表曲集。
ジャケット内側に掲載されたメンバー四人のポートレート、眼光鋭くふてぶてしいばかりのおやじ面のそれが、このアルバムの素晴らしさを雄弁に物語っている。
あえてサックスを外し、キャンベルのtpと共に自身の痙攣するようなギターを大きくフューチャーしたサウンドは、リボーのアイラー解釈の深化と自信をうかがわせる。
参集されたメンバーの内、特筆すべきは、やはり3年ほど前に再発見された生きた60年代フリー・ジャズの伝説ヘンリー・グライムスの存在だろう。図太いばかりのベースの音色が、60年代フリー・ジャズと現在のNYダウンタウン・シーンを直結している。
現代前衛ジャズの愛好者は勿論、アイラーの熱心なファンにも充分お薦めできる一枚だ。