1937年8月13日、中国国民政府は上海停戦協定の破棄を声明。かくして日本軍は上海の街に立てこもり、食料や弾薬が乏しくなっていく中で、友軍の到着を待ちながら中国軍との決死の市街戦を展開していく…。
日中戦争の拡大を決定付けた上海市街戦を現地ロケで再現した戦争映画で、監督は『阿部一族』などの熊谷久虎。戦時中の作品ゆえ、当然国策映画としての作りにはなっているが、その点をわきまえて接すると、ドキュメンタリー・タッチの淡々とした演出が戦場の緊迫感を否応にも高めており、また日本映画にはめずらしい市街戦ものということでも興味深いものがある。戦闘の経過などを図解でわかりやすく表現してくれているのも親切な配慮である。中国人娘役で原節子も出演。(増當竜也)
海軍陸戦隊ファンなら必見
★★★★☆
今回の作品は上海における海軍特別陸戦隊をモデルを作品化していますが、海軍陸戦隊に興味(軍服、装備品等)のあるかたなら、見ていただきたい作品だと思います。
海軍陸戦隊と言えば、当初は水兵の軍服で戦闘を行っていましたが、この作品では、第三種軍装(戦前の作品なので実物使用が魅力的です。)を着用しての戦闘場面になっており、見応え十分だです。
フィルムは、戦前の作品なのでちょっと見苦しい点もありますが、ストーリー的にもあきることなく見れたので私としては、おすすめの部類に入る作品です。
市街戦が凄い迫力!!
★★★★☆
延々と続く市街戦が凄い迫力で、思わず画面に見入ってしまいました。海軍省全面協力みたいなタイトルバックは物々しいが、変に戦闘シーンを作為的に盛り上げようとしたりはせず、淡々とドキュメンタリーのように描いているのがリアルで迫力を増している理由だと思う。上海の街や戦闘シーンを俯瞰やロングでとらえたり、夜間の戦闘、塹壕の兵士たちの映像など、映画としてもなかなか魅力的。アジアの都市の市街戦ということでキューブリックの「フルメタル・ジャケット」なんかを思い出してしまった。特に登場人物に対して過度の思い入れがなく、激戦で兵士が次々と倒れていくところなど、国策映画として作られたはずが、反戦映画?にも見える。戦意高揚のために敵を極悪に描いたり、味方をヒロイックに描くようなシーンは皆無。ひたすら撃ちまくるという感じで、観終わった後はとにかく銃声の音が耳に残りました。最初と最後のナレーション、上海で残殺された日本軍大尉の葬儀シーンなどが今観ると国策っぽいが、戦闘が始まるとそんなことは忘れてしまう。日本兵に反抗し続ける中国娘の役で19歳の原節子さんが出演。ギラギラとした瞳と、抵抗を体中で表現したかのような演技が印象に残る。出演場面は少ないが一見の価値ありだと思う。
国策映画とはいえ脚色が少なく実録かと思うリアルさ
★★★★★
海軍省の後援で1939年に完成した国策映画で、 第二次上海事変の激戦をあくまでも"真摯"に戦った海軍陸戦隊を讃える内容です。
1937年8月13日、中国国民政府は上海停戦協定の破棄を声明。惨殺された大山中尉の葬儀シーンから始まり、すぐさま中隊は戦闘配置に就きます。注目するのは、日本軍から撃ったのではなく、中国軍の挑発でやむを得ず応戦した場面です。ここに正しい歴史認識の原点が存在します。応戦後、陸戦隊は中国軍と長期戦の中で食料や弾薬を消耗しながらも、決死の戦闘を続けていく筋書きです。戦闘シーンが限りなく続く中、中国人婦女子を助け、食料を与えた上、『良民ニツキ保護ス』のビラを掲げたシーンには、日本人の魂(益荒男の心)が自然に映し出され、日本軍を"美化"したクサい演出は見られません。
上海市街戦を現地ロケで再現した戦闘シーンは日本映画では珍しく、しかも圧巻です。そのリアルさは、銃撃戦の最中に小銃(三五式海兵銃?)のボルトアクショントラブル(土砂詰まり)に苦戦するシーンまで登場するなど破格と云え、実録に近い臨場感があります。海軍陸戦隊の野戦装備や、戦場での手旗信号通信、戦闘配食の大きなおむすびなど、帝国海軍陸戦隊の作戦・行動がディテール満点で描かれています。映画とはいえ戦闘経過を図解している場面から、海軍独特の戦略思考が垣間みられます。
ネクタイ着用した士官の第3種軍装と言動に、誇り高い海軍軍人の品格の高さを感じました。花形の軍艦乗りでは無く、必ずしも陸軍程の戦力に充たなかった陸戦隊も、上海や南方での激戦で尊い命を国にお捧げした方々でした。合掌!
上陸カッコイイ!
★★★★☆
陸戦隊の制服と十一年式軽機関銃に燃えました。
当時の上海の独特の雰囲気、電話機を多用した近代的市街戦、
また、当時の日本人の戦争観や未来への展望に高揚した空気も味わえます。
ただ何故か敵があまり写らないのとやはりセリフが聞き取りづらい所があります。
日本軍を蔑みたい人はこの映画を国策映画などと片付けてしまいますが、
私はこれもまた一つの真実の断面だと思います。
日本軍好きなら満足すること請け合いです。
LOMOで撮ったみたい
★☆☆☆☆
とにかく暗かったです、内容がじゃなくて、画面が。
LOMO写真のように、ふちが暗くて、中央のほうも明るくないです。
夜戦シーンが少なくないせいか、絶えず暗くなったりぼんやり明るくなったり
の繰り返しで、『ゴジラの逆襲』よりもまっ暗でした。
あとそれから、音がすごい小さい上にセリフもたいへん聞き取りづらいです。
たまたまぼくの買った盤が【ハズレ】だったのかもしれませんが、爆発音と
機銃の音ばかりが印象に残る映画でした。