リーダー論の書
★★★★☆
アメリカホワイトハウスにおける若手研修、フェロー制度。
そのような「世界最高峰のリーダーシップ養成プログラム」があるから
アメリカは層が厚く強いのだろうと思うと同時に、日本のお粗末な政治を
嘆かわしく思います。
本の内容は短いトピックスの寄せ集めで、もう少し踏み込んだ内容も
欲しいと思いましたが、それでもフェロー制度の概要と利点はよく判ります。
著者も元フェローで、元フェロー達を多数取材し執筆しており、ただの記者が
書いた本よりは説得力があります。
フェロー制度の秀逸性の紹介もさることながら、アメリカのリーダー達が
スタッフとのコミュニケーションをとても大事にしている様が共通して
描かれており、リーダー論の書としてもお勧めです。
(アメリカ映画やドラマを見ているような日本では即マネをできない面は
ありますが・・・)
米閣僚たちが若者たちに見せた顔
★★★★☆
この本には、米最高のインターンプログラムに選ばれた若者たちの経験談が詰め込まれている。
若者たちとは言っても、大卒でちょっと賢いぐらいでは到底選ばれない。コリン・パウエルやデニス・ブレアもフェロー経験者だが、そういった人たちが厳しい選考基準をクリアして、最終的に3日間の集中合宿を経て選ばれる。そうやって選ばれた人材は、フェローを終えた後政府の仕事に残ることも多い。つまり、1年間のフェロー期間中に将来のスタッフをじっくり吟味しているとも言えるだろう。
この本には、これまでの政権の閣僚らが、どのようにフェローに接したかの裏話が詰まっている。69年から1年間フェローを務めた女性は、ニクソン政権のヴォルペ運輸長官に昼食会に誘われた。しかしその沿岸警備隊の食堂は女性の出入りが禁止されていたのでそれを伝えて辞退すると、ヴォルペはただちに規則を変更させた。別のエピソードでは、ジョージ・W・ブッシュ大統領がフェローを気軽にサイクリングに誘う様子や、ジェノサイドについて語り合う様子などが紹介されている。
ただ、この本に暴露的要素は少ない。フェローたちのエピソードは実名だし、第一上司がまだ存命で、少しでも政界に色気があれば悪いことは絶対に言えないだろう。本を半分ぐらい読み終えたあたりで、輝かしいエピソードに若干飽きたのは否めない。各エピソードが短いので、くるくる人が変わるのも残念。もうちょっと深く聞きたいのもあった。とりあえず、フェローに選ばれる人たちがどれだけ有望で、選ばれた人たちが政界の内外で出世道を駆け上がるのはよくわかった。著者自身も元フェローなので、フェローをややステータス化してしまっている感はある。読んだあと、逆にフェローになったけれどその後失敗した人はいないのだろうか、と興味がわいてしまった。