文字通り、知識ゼロからでも世界三大宗教の仏教・キリスト教・イスラームに関する最低限の基礎知識が得られるように工夫された本である。

本書で取り上げられるトピックは、教祖・教義・戒律・経典・信仰対象・偶像・聖地・弟子・歴史・宗派・修行・死生観・冠婚葬祭・建築・芸術・科学・政治・経済・女性観・戦争・日本であり、一つのトピックにつき仏教・キリスト教・イスラームそれぞれの見解が述べられることで、三宗教の相違が手に取るように分かる仕組みになっている。図版も豊富に収録され（但し全て白黒）、視覚的にも理解しやすいよう配慮がなされている。

それで、このような本を見て常に感じるのは、「参考文献一覧」のお粗末さである。本書を一読して事足れり、とする人にはいいが、本書を読んでもっと知りたい、と思う人も勿論いるだろう。特に本書はこれだけ多彩なトピックを取り上げているのだから、夫々の項目について、更に知りたい人はこれを読んでみてね、という程度の案内はあってしかるべきと思う。本書にも一応、著者が執筆に際して参考にした文献一覧は挙がっているが、上の如き目的でこの一覧を見ると、あまり役に立たないのである。改訂することがあれば、ぜひ、数ページ増やして充実した参考文献一覧をつけてほしいと願う。

知りたいことだけをざっと読めて、数時間あれば映画や小説を少し深く理解できる程度の知識はつきます。宗教関係の本は、本質をていねいに説明しようとするために、入門書といっても長いものが多いですよね。読んでるうちにこんがらがって、投げ出した経験がある方も多いのでは？

「教祖」、「歴史」といった項目ごとに３つの宗教を比較する便利な構成になっています。１つの宗教だけについて読みつなぐこともできますし、違いを比較して理解することもできます。

これを読んで、「世界遺産」（テレビ）がおもしろくなったし、宗教がらみのニュースも理解できるようになりました。宗教を少し知っておくだけで、いろんなものが理解できるようになるんですね。