Feels So Good
価格: ¥1,660
60年代のチャック・マンジョーネと70年代以降の彼は、まるで別人のような印象を受ける。ディジー・ガレスピーに可愛がられ、ディジーの紹介でアート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズに参加、さらにリヴァーサイドにリーダー作を録音するなど、60年代のマンジョーネは本格派のジャズ・トランペッターだった。それに対して70年代以降のマンジョーネは、当時のクロスオーヴァー・ブーム(まだフュージョンという言葉はなかった)に呼応したポップ路線で大成功をおさめた。
要するにこの人、時代の空気を読むのがうまかった。70年代前半のマーキュリー時代はいってみれば助走期間。75年にA&Mと契約、ここで一気にスターへと躍り出た。『哀しみのベラヴィア』もよかったけど、なんといっても最大のヒット作は78年に発表した本作。心に優しいメロディ、リリカルな演奏が時代の空気にマッチしていた。主要楽器をトランペットから、よりマイルドな音色のフリューゲルホーンに持ちかえたのも功を奏したようだ。(市川正二)