一般人のための日本共産党紹介
★★★★☆
先に、筆坂さんと鈴木邦男さんの対談『私たち、日本共産党の味方です』を読んだ。
まず最大の長所はコンパクトさと文章の読み易さだろう。但し、あくまでも基礎知識の無い一般人の為の日本共産党の紹介であって、別に殊更、独自な見解や新たな発見が披露されている訳ではない。かつての党幹部が正直な体験と感想を綴った本である。
日本共産党の持つ負の歴史等について知りたければ立花隆『日本共産党の研究』等の浩瀚な著作にあたれば良いが、一般人が「共産党って何故議席が伸びないの?」、「何故、勝ち目の無い選挙に候補者を立てるの?」、「何故他の左翼政党と連立しないの?」というような疑問を解消するのにはベストかと思う。
日本共産党の存在意義を問う
★★★★★
私の共産党のイメージはメディアの露出が少ないせいか、
いまいち党の目指す方向性がよく分からなかったが、
本書は同党の政権構想や組織、資金源などが簡潔に
書かれており、初心者にも非常に分かりやすい。
著者は同党の元幹部ということだが、思考が一般人と
近いらしく、イデオロギーも抑えてあるので、同党
支持者でなくとも読みやすい作りになっている。
本書を読んで感じたことは、外から見ていると非常
にクリーンなイメージのある同党も、内部は多党と
同様堕落、疲弊しているということだ。拉致問題や改憲、
自衛隊などの論点における同党の主張のぶれや幹部の
無駄使いも深刻だが、私は一番の問題は人材の枯渇
だと思う。
同党は議員を秘書や支援者がバックアップが充実
しすぎているせいか、議員の不勉強が目立つようだ。
著者のように小選挙区で勝てる議員を切った結果、
最近の選挙で当選する同党の議員はみんな比例復活だ。
著者は本書の最後に社民党との合併を示唆している。
そのくらいの覚悟を持って、自由主義の対抗する政党
として現実路線に踏み切らなければ、同党の党勢は
先細りになる一方だろう。
共産党の内幕
★★★★☆
共産党の常任幹部会では,議論の結果,幹部会委員長がまとめを行う。
2002年ころ,当時は志位和夫が委員長だったが,志位がまとめを行う度,不破哲三(当時中央委員会議長)が「僕は違うな」と言ってひっくり返すということが何度か続いた。この結果,志位がまとめができなくなり,会議が無用に長引くという事態が多発した。また,この場面を見た幹部たちは,志位を軽んずることになり,ますます不破議長を絶対化していくことになった。
「私が罷免されたとき,メディアは私のことを「党のナンバー4」と書いたが,私にいわせれば,共産党にはナンバー1しかいなかったのである。」(102頁)
宮本顕治が議長を退いたのは,1997年の第21回党大会。
当時,宮本は,体調を崩して大会に出席できない状態だったが,まだ引退するつもりはなかった。それを,不破が,数日通って説得した。この説得に対し,宮本は,「君,僕は何か間違いを犯したのか」と聞いたという。
不破は,常任幹部会の席で,「宮本さんには知的後退が見られる」と語った。
共産党の内部を描写した部分は,さすがに生々しく,読み応えがあった。
日本共産党についての基礎知識
★★★★☆
最近、格差問題(みんなで所得が上がらない・減っているだけじゃないの?)や蟹工船ブームで突然入党者が増加したという共産党。その内情を離党者が語ってくれている。
民主主義などない独裁主義、政党助成金は受け取らないという見栄のために赤旗拡販に明け暮れる末端党員、議員候補者はすべて中央が決定、秘書も党から派遣される中央集権主義。
どっちみち政権担当能力は皆無なのだから、せめて弱者救済に本当に親身になる党であれば良いのだが。
「日本共産党」と「共産主義」
★★★★☆
この本は元日本共産党幹部の筆坂氏が自身の体験をもとに「日本共産党」の実情を紹介した本です。
「共産主義」に対する批判は、すでに言い尽くされており、その点では目新しい指摘があるわけではないですが、あまり表に出てこない「日本共産党」の内情が分かるという点は価値があると思います。
政治資金の問題、党員の高齢化、真面目な党員ほど負担が大きくなり活動が大変なこと、そして、幹部の権力闘争など、興味深い話が多いです。
この本を読めば「日本共産党」の内情と「共産主義」の限界が理解でき、政治に興味がある人なら読んで損はないと思います。