『立花氏、骨太で本気』
★★★★★
(「第一巻」からの続き)
本書の考察主題は、「戦前における活動の検証と理解を基に、執筆当時(1976-77)までを積み重ね、概観すること」である。しかし、共産党の特徴の多くが、「戦前に依存している」という著者の判断から、構成の主軸は、戦前の歴史となっている。そしてその中で、適宜解説を行い、執筆当時における関連や伏在を示す、という方針である。だから、一直線的な論証というよりはむしろ、樹状図的と言った方が良いかもしれない。因みに、対象とした年代は、ロシア革命(1917)辺りから、1937年位まで――主軸としてだが――である。地域情勢も、この活動の場合重要である。勿論中心は日本であるが、その次は旧ソビエト――本部、もしくはヘッド・クォーターがあったのだから――である。中国については、詳しくは触れていない。
本書は、過去においてラディカルな活動を行った集団の歴史を知る、ということに加えて、さまざまな知見を与えてくれる。これらが本書の美点である。
二つほど示すと、現代日本とも符合するインテリ層の「アキレス腱」の共通性や、一つの動機に、集め・集まる人々に宿る「日本的ユニークさ」などである。小生は組織集団に関心があって本書を手にしたが、得るところ多かった。
このように、多層的受容を可能にするのは、双方の側からの綿密な調査(参考文献・インタビューはおよそ1400点を超える!)と、第一巻で示した方法の故だろう。
これらがあいまって、非常に刺激的、かつ緻密で「説得的」な本書が生まれたと思われる。
大いに推薦
(因みに小生は、“カール”より“闘莉王”、“レーニン”より“浪人”モノが好みです)
明治官僚体制の最も忠実な後継者日本共産党
★★★☆☆
この政党の独善性と体質の古さが嫌で日本共産党をやめた人間がいる。地方分権が叫ばれる時代に民主集中(実際には民主はなく集中のみという者もいるが)とかまるで聖書の神の国の引き写しのような理想とそれに説得力を持たせたキリスト教神学とどこが違うのか宗教と政治を両方した者からは理解に苦しむ。ある面この著作はその回答の一つといえる。ファシズムと共通するので批判勢力として必要な政党だとは思うが。
日本共産党の歴史を知るには便利。
★★★☆☆
日本共産党の党創立から壊滅までの戦前の通史の第二巻です。立花隆の文章は読みやすい。読者を退屈させないため随所に挿入されている日本共産党批判が明解です。
人間とは?
★★★★☆
日本共産党の部外者による、すべての日本人のための、日本共産党史といえる。この三部作により、日本の中で、共産党という組織が如何に形成され、またどのような人間のもとで活動してきたのか。日本共産党の歴史の暗部を明かし、また共産党という組織の閉塞性と独善性を表している。