「脱・保守主義者」
★★★★★
筆者がこだわっているのは「保守主義者ブラームス」というイメージの修正でした。
そして筆者が試みた音符解読からは、
ブラームスは次なる時代の音楽のあり方をうすうすと感じていたり、
また実験的なことも試しているという事実が分かりました。
個人的に興味深かったのは、ブラームスの4つの交響曲の調性と
ローベルト・シューマンの4つ交響曲の調性の関係でした。
つまり、ブラームスの交響曲の調性はシューマンの調性を2度上げたものとなっています。
シューマン /ブラームス
第一番 変ロ長調/第一番 ハ短調
第二番 ハ長調/第二番 二長調
第三番 変ホ長調/第三番 ヘ長調
第四番 ニ短調/第四番 ホ短調
というようになっています。
私の邪推ですが、シューマンがブラームスに交響曲を書くよう勧めましたが、
それへの返答かもしれません。
ともあれ、本書は筆者の愛情に満ちたブラームスの本となっています。