歌うように美しく
★★★★★
高木綾子さんが、今までCD化しなかったのが不思議なくらい、フルーティストにとっては、おそらく最もメインのレパートリーであるモーツァルトのフルート協奏曲。待望の録音(本当に長いこと待ちました)は、期待に違わぬ素晴らしい出来だ。遅めのテンポで演奏される「フルート協奏曲第1番」のAdagio non troppoは、モーツァルトはこうでなきゃと思わせるほど優雅で美しい(もちろんその他の楽章も)。小鳥が歌うようにシンプルでナチュラルな音色は、過剰な装飾や無理な躍動感がない分、じんわりと身体中に染み渡っていく。それは、変に力まずに肩の力を抜いて演奏しているからだろう。聴いているこちらも自然とリラックスしてしまう。やはりデビュー10年、この時期だからこそできた演奏だと思う。癒し系なんとかという表現は嫌いだけど、ほんとに癒されます。