かまた先生の作品はどれも印象的で、特に「深海蒐集人」「クレメンテ商会」「KATANA」「空中飲茶飯店」が大好きなのですが、どの作品にも共通するのは主人公にとても魅力があることでした。

それに対して、残念ながらこの「レジェンド・アカデミー」の主人公は、どうしても好きになれません。謙虚さが無く、人付き合いのノウハウを持たず、反対に人に不快感を与える主人公。ここまで徹底しているのも珍しい(笑)。

ただし、内容は面白いです。「レジェンド・アカデミー」という学校がとんでもないところで、主人公が毎回、信じられない経験をするというのがなかなか面白い。そして主人公が少しずつ精神的に成長していく過程も面白い。個人的には校長のロザリンドが好きです。

かまたきみこさんのコミックスはほとんど持っているのですが、この作品は確かにKATANAシリーズなどから比べるとかなり薄味仕立てになっていると思います。タイトルになっているレジェンドの扱いに関しても、特に独特の味付けがあるわけでもなく淡い感じですし(そちらは今後の展開に期待しています)

でも、私は何度も読み返してしまいました。
かまたさんの作品全般に共通するのではないかと思うのですが、なんというかホッとできる部分があって、一日の終わり、体を休めながら心もゆっくりリラックスさせたいな、という時に読むと、ごく軽い現実からの浮遊感が味わえて、それが心地よい。あと例えがアレですが、スルッと喉の奥に滑り込んでくるトコロテンのようで、読む側の脳内での味付けにおまかせという感じになっている点も、個人的には★一個プラスでした。その辺をプラスにするかマイナスにするかで、評価もかなりわかれるのではないかと。
メリハリのはっきりした作品がお好みの方にはオススメできませんが、緩い内容をのんびり楽しまれるタイプの方でしたらご一読どうぞ。

それから、あとがきでかまたさんご本人がネタとして書いておられますが、表紙絵の主人公とストーリー中の主人公はほぼ別物です(^ ^;

比較的好きな作家さんなので、深く考えず購入。でも、あんまりおもしろくなかった。刀シリーズとか好きなんだけど、これはつまらないかも。・・っていうか、新規購入した翌週、古本屋で見つけて、読む前からかなりテンションは下がっていた。他の本に期待する。