困難に直面したときどう生きるか
★★★★★
普通、人間は自分の行った努力に対して、とかく実りを求めるものであるが(実りが見込めるからこそ努力する)、そうではない生き方もあるのだと教えてくれる。若い人からするとなかなか分かりづらい生き方だと思うが、だからこそ、特に若い人に読んでほしいと思った。
兄は苦難に遭っても自分の生き方、正義感を徹底的に貫く理想の人物。実りのない苦労、誰もやりたがらないような苦労を引き受けることで、人間は成長するし、そういう人間がいるからこそ、国も豊かになるのだということを気づかせてくれる。
弟は、いわゆる普通の、一般の考えを持った青年であり(それでも頭はずば抜けて良いが)、そのなかで様々な人と接し、感化され、成長していく。弟のほうは現代的な人と思えるため感情移入もして読み進めることができるだろう。
キリスト教色はほとんどなく、文章も読みやすく、人生訓となるような言葉もいくつかあると思うので、読んでみてまず損はしないだろう。
それでも正しく生きろ
★★★★★
次から次へと腹の立つこと、理不尽なこと、悲しいことが起き、正しく正直に生きているものが報われるわけではない現状に主人公と一緒に憤った。ラストの色鮮やかな描写がさわやかな読了感を残してくれた。三浦綾子作品は終わり方が秀逸。
因果応報の本当の意味について
★★★★★
正編読了時に抱え込んだ「真面目に生きても無意味なのか。真面目に生きたことの報いがこれか。」という問題に対する答えは・・・ここでは書きませんが,物語を通して「因果応報」という本当の言葉の意味について,深く考えさせられました。
クライマックスこそやや説教臭さがありますが,物語自体は泥田を甦らせんとする拓一の情熱あり,それに水を差す一派との争いあり,遊女解放運動のエピソードあり,そして代用教員・耕作の心温まる指導ぶりあり,と山場の連続で長編を感じさせません。
ラストシーンは程よいハッピーエンド。あれ以上仔細を語らず,主人公たち若者の前途を読者の想像に任せたのがまた心憎いです。
生きようと思える
★★★★★
ひたすら悲しい。
でもなぜか生きる力がわいてくる。
誠実に生きても
報われているような気がせず、
いくら働いても貧乏な日々を過ごす
主人公とその家族や周りのひとたち。
そんな苦労の耐えない彼らに
更なる自然災害という苦難がやってくるわけなんですが
そこがもーつらくてつらくて。
なんとも言葉にできない辛さが痛いほど伝わってきて
やりきれない!
読むのやめようかとおもいたくなる。
やめられないけど。
とにかくこれでもかってくらいの、苦しみの連続。
三浦綾子はほんとうにこのへんの
文章にすると安っぽくなりがちな、
人間の苦しみの伝え方がめちゃウマいとおもう。
生きてるって無駄じゃないんだなーっ
もしかしたら意味があるのかもしれない、て思える。
主人公の青年はフツウに、
生きることを嘆くんですが、
それが人間の極フツウの反応だと思うんですが
兄はそれに対して
それでも生きてることが「バカらしいと思わない」
て言うんです。
読む側の心が動かされるところかも。
苦労を背負っている彼の言葉なだけに
それでも生きることを受け止めようとする姿に、
重みが伝わります。
このお兄さんがまたいい人なんです。
カッコイイのは主人公だけど
ひたすらあったかいのはこのおにいさん。
人に幸せを与えてくれるお兄さんなんです。
マジメにいきても報われない・・・・って思う、
悩みの多い人にオススメです。
希望を忘れず、背筋を伸ばして生きていこう
★★★★☆
損得勘定ではなく、自分に恥ずかしくない生き様を貫き通す、そんな主人公たちに大いに励まされる小説です。
人間が生きていくためには、「希望」という明かりが、お金や物よりもはるかに大事なんだ、と言うことに気づかせてくれます。