中飛車に対して５筋を取らす戦形と角を交換する戦形に大まかに分かれますが
先手中飛車、後手中飛車の場合の最新形を含む幅広い解説書となっています。

内容は、入門書にあるような基礎的な手順は省いて実戦形に絞っています。
持久戦ガイドとなっていますが１章では、どちらかとうと急戦形と思われる
中飛車の狙い筋が明快に解説されています。

２章以降は、居飛車側が角交換をやめて居飛車穴熊を実戦的な解説になっています。
相穴熊の戦形で５筋を突き捨てたあと　居飛車に飛車をなりこまれても
底歩で一気に固くなる箇所の解説は、なかなか興味深い解説です。

居飛車穴熊に対して袖飛車で対抗する戦形は、最新形と思われますが
豊島５段の新手筋の仕掛けの優秀さを示す解説等
ポイントを得た解説が続きます。

そして各章の末尾にポイントを詳しくまとめてくれているのは、ちょっとしたことですが
非常にありがたい感じがします。

著者自身による本家の遠山流の解説も見逃せません。

実戦譜　３局の解説も好局ぞろいです。
中飛車の解説書としては非常によくできています。

あとは、著者の成績がもっと上がって昇段してくれればいいんですけどね。

ゴキゲン中飛車から中央突破の急戦を目指す戦法の書籍では、相手が持久戦の構えを取った時の対策が
あまり芳しくなく、最近の先手時の打開策も問題でした。
単純にゴキゲン中飛車戦法自体が、強敵居飛車穴熊対策だった初期には有効だった攻めの手筋が以外と
苦戦し始め、最近はかなり対穴熊に苦しんでいました。
持久戦での中飛車特有の手筋が満載で、先手後手関係なく勉強になります。
急戦対策には殆ど紙面を使ってないので、近藤、鈴木、阪口、戸辺プロのゴキゲン中飛車の著作で
戦法の変遷を感じながら学んで行くのも一つの手かも知れません。