社会学者はいかに社会に関わるか?
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本書はあくまで社会学の書である。社会構成主義系のナラティヴ・セラピーについても言及はあるが、単に治療現場という臨床の現状を伝えることが本書の目的ではない。
治療現場にかぎらず、ナラティヴはここそこにある。そして社会学者自身もまた、ナラティヴに巻き込まれナラティヴを生み出す者である。著者はそこにナラティヴ・アプローチによって、個人のみならず、「社会」を描きだすことにより「社会」の構成に参加する、医療社会学や介護社会学ではない「臨床社会学の意義」を説く。
客観性を重視する社会学的態度に疑問や迷いを感じる人におすすめ。