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なぜ、横浜中華街に人が集まるのか(祥伝社新書211)

価格: ¥821
カテゴリ: 新書
ブランド: 祥伝社
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迫力満点の町おこし論 ★★★★☆
自ら六つの町内団体の長を勤める筆者による、住む人、働く人、買い物をする人のための町おこし論。経験からにじみ出る警句、名言が面白い。久しぶりに横浜中華街に行きたくなった。
街というソーシャルメディア ★★★★☆
横浜中華街が好きである。中華の中でも特に湖南料理というマニアックな料理が好きなため、月に一度くらいのペースで訪問する。異国情緒を感じさせながらも閉じてない雰囲気には、以前からとても好感を持っていた。世界の中華街は中国人のために存在するが、横浜中華街だけは日本人のための中華街を指向しているとのこと。本書はそんな横浜中華街の街づくり論を、横浜中華街の理事長が纏めた一冊である。

ペリー開港以来の歴史を持つ、横浜中華街は今日までの間、日清戦争、関東大震災、満州事変、日中戦争、太平洋戦争と、その存在が危ぶまれるような局面を幾度も迎えてきた。何度も街が壊滅しながら、その度に復興してきたのは奇跡などという単純なものではなく、彼らに強い志があったからに他ならない。マージナルマン(辺境人)という言葉があるが、それはまさしく彼らのための言葉である。中国の人間でもなく、横浜の人間でもない。だからこそ、誰よりも中国の文化を大切にし、誰よりも横浜の街を愛す。

古く開港当時から彼らには「郷幇(きょうばん)」という、住む所から仕事の斡旋まで、同郷の人が支えあう制度があったそうだ。これが彼らにとって最強のソーシャルメディア。そんな制度が、今でも形を変え生き残っている彼らの社会には、ソーシャルメディア社会の完成形とも言うべき姿を見ることができる。本書において何度も出てくる「損か得かを超える精神的エネルギー」「精神的経営」「感性価値」「人に見られているという意識」「ホスピタリティ」というキーワード、そして何よりも50年先、100年先の次の世代のことを慮る強い気持ち。コトラ―の「マーケティング3.0」も真っ青なのである。

著者は横浜中華街をブドウの房に例える。中国の商売をしている各人がブドウの一粒一粒のように密接に連携しあい、ブドウの房のように一大コンテンツを形成する、それが横浜中華街。このブドウの房を相手にしたら、facebookもTwitterも、ひとたまりもあるまい。