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だれかのいとしいひと (文春文庫)

価格: ¥580
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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ゆったりのんびりした日曜に ★★★★☆
めずらしく出かける用事のないのんびりした日曜日、家事の合間に一遍ずつ読みました。
最初の数編は「対岸の彼女」や短編集「ドラママチ」など角田さんの他の作品に比べると、少し拍子抜けというか、終わり方が「あれ? これで終わり?」という感じでしたが、「誕生日休暇」は心に訴えるものがありました。
(以下、少しネタバレあり)
主人公のシングル女性は目の前に迫った誕生日休暇を含む六日間の連休をもてあましています。ほんとうの気持ちを言えば、べつに旅行になど行きたくないし、特に何もしたくないのに、同僚たちがどんどん勝手に計画を立て、ハワイの静かなホテルに一人旅をする羽目になります。
何をしても虚しく、来たことを後悔し始めたころ、バーで翌日に結婚式を控えた男性の身の上話を聞くことになります。
無意味な、お手軽な、運命に抵抗することもできたのに、形の上では風船のようにもてあそばれて結婚の決意をしたというその男性の話に、主人公は二年前の失恋からやっと一歩を歩みだす予感を覚えます。
彼女がハワイに来たこと自体も、運命に抵抗しなかった結果でした。

誰にでも一生のうち一度くらいは、運命に身を任せようか、逆らおうかとの決断をする局面はあるのではないでしょうか。
いいお話でした。
マイナス一星なのは、全般的に角田さんのいつものひねりが足りなかったからです。
でも、のどかな休日に広げるにはぴったりの短編集でした。
泣けますが。 ★★★☆☆
 この作品を読んで、(私は)とても前向きには考えられませんでした。救いようのない寂しさに襲われました。襲われる、というか、思い出す、という感じ。私はこういう風に寂しかったんだと、思いました。
 特に「ジミ、ひまわり、夏のギャング」は、読みながら、泣きそうになりました。心がぽっかりあいて、正直、二度と読みたくない。よくこんな寂しい話が書けたのだなぁと感心しました。やはり自分と重ねてしまった時に、泣ける。自分と重ねてしまったら、泣ける、というのはもうしんどいです(私の勝手な感想ですが)。まったく自分とは似てもにつかない境遇なのに、ただ「感情移入」という形で泣ける小説が読みたいですね。
ドラマより現実の方がドラマチック ★★★★★
表題作「だれかのいとしひと」を含めた8編の恋愛短編集。

個人的にはガッチガチの恋愛物語は好みじゃないけど、角田光代の書く恋愛小説はどこかぼんやりとしていて、特に今作はタイトルも表紙絵もそんな感じで好感が持てる。

失った愛、失う愛、ダメージを負った事。
それらマイナスのベクトルから、すべてスタートはするけど、そして状況は何も変わらないけど、その中で前向きに考えようと思う事を教えられた。「そこ」からどうするか、それは本人次第なんだと感じた。等身大の自分と向き合える小説。

どこにでも居る人たちの、どこにでもある話かもしれないけど、主人公たちの心にスッとシンクロ出来るんじゃないかと思う。
どこにでもある話だから共感も出来るし、出来ない話もある。でも、ドラマなんかより、現実の方がよっぽどドラマチックだったりする。

全編一人称で描かれていて感情移入はしやすいですよ。

ところで、この作家はエッセイも秀逸なわけだが、前に出版したエッセイの中にあった話がモデルになっていると思われる話も出てくる。エッセイもおススメ!

「好きなんて気持ちがなければいい。だれかがだれかを好きになるという気持ちがなければ、あたしたちは恋だの愛だの友情だの、そんなものを何ひとつ知らないこどもみたいに、いつまでもひっついてじゃれあって暮らしていけるのに」 本文85ページより
ドラマチックな展開ではないけれど ★★★★★
 珠玉の短編集.世界にあふれている日常は,テレビや映画の世界で見ることのできる,ドラマチックで華やかなものばかりではない.
 そんな一般的な人々の中でも,特に不器用で社会の鼻つまみ者とも言えない事もない人の日常が,巧みに切り取られている.人生色々,と思わせてくれる,読後に優しくなれる本.
いいものはいい。 ★★★★★
ひねくれた私は、角田さんの作品を直木賞ものから読まず、
あえてこれから入りました。
角田さんの世界を知らないで、とにかくこれから読んでみたのです。
しかし初めて自分の勘を信じてよかったと思える本との出会いでした。
大人になって随分経ちますが、
まだまだ小説を読んで泣ける心が残っていたと、嬉しくなります。
他の人同様、何度も読み返したくなる本。
短編であるために読み手の集中力も維持でき、
なおかつ情景が浮かびやすい描写のおかげで
物語の中にすぐ入ることができます。
疲れたり考えすぎた時、現実逃避して楽になれるので、
ぜひみんなも読んでみて下さい。